まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。
私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。
その中でいろいろな質問にお答えしていますが、間違った知識や理解が広がってしまっていることが多々あります。
今回は、その中でも最も多いものの一つ、「LOVEゲロ」いわゆる吐き戻しについてお答えしていきたいと思いま す。
鳥さんは吐き戻しをする動物なのですが、間違った知識で病気かと勘違いしたり、心配になって連れてこられるケ ースが多いです。
また間違った診断で間違った処方をされ、関係のないお薬を飲んで、一向に治らないなんてこともあります。 しかも少なくないです。ぜひ、鳥さんの習性を知ってもらいたいと思います。
鳥さんの吐き戻し
オスが雌に求愛するときに吐き戻しをします。これを通称「LOVEゲロ」と言います。 雌はひなを育てるときに吐き戻しする。
雄の吐き戻しと、雌の吐き戻しは目的が違います。特に雄の場合が典型的なので知ってて欲しいで す。それは吐き戻す場所です。
自分の足や翼に吐き戻しすることもあります。鏡や人形や止まり木のこの場所に吐き戻すなど、ものに対して吐き戻すこともある。
人間に置き換えるとなんとも変な感じかと思います。
この、変な場所に吐き戻す理由は、生命維持に必要な量以上のご飯を「こんなにもたくさん獲得」 することができる、優秀なオスであることをアピールするタメと言われいます。
また優越感?のせいか繰り返す傾向にある。
ただの吐き戻しをそのう炎と診断
ただの吐き戻しをそのう炎と診断する病院が結構多い。 飼い主さん自身もちょっと詳しいと「そのう炎」ですか?と来られる方が多いです。
その、そのう炎とは「そのう」この鶏の模型でこのあたり!ここが炎症を起こしている病気
食道の一部が広がった空間。餌を一時的に貯めておく場所で、胃みたいに消化することはできない。
この「そのう」というところが菌で炎症を起こします。炎症を起こした結果吐き戻すという「そのう炎」という診断をして その結果、病気を治すために抗生剤や胃薬を 飲んでいることが多いです。
実は私はそのう炎と診断したことがない
そのう炎は実際にはほぼほぼない病気です。
ちなみに私はこのような鳥の診療をしている一部の獣医師がもつ会員証を持 っていますが、決して自慢したいわけではありません。鳥のことを勉強するとそのう炎というのがほぼほぼないというのが定説になっています。
そのう炎はない
人間に胃腸炎というのは胃腸が炎症していると胃腸炎にしてしまうと言われてい ます。実際に診断するには正確な検査が必要になって、判断するには難しいで す。胃腸炎という病名は非常に便利な病名です。
同じように、鳥さんにも「そのう炎」という診断をしやすいです。
鳥さんにはそのうが炎症していることがほぼほぼなく、昔鳥さんを診断すると吐き戻しから病名をつけようと診断した結果「そのう炎」というのが多発してしました。
現在研究が進み、「そのう炎」というのがあるのかもしれませんが、実際にはほ ぼないと言われています。私は今までで何万羽と診察してきましたが、いまだに 1羽も診断したことがありません。
間違った診断をしてしまう理由
間違った診断の流れではこのようなものです。
そのう検査というものがありまして、顕微鏡で細胞を見るというものです。正 常を知らないで検査を行うと、菌がいっぱい確認できる→そのう炎にしてし まいやすいです。
がしかしこれは正常でもみんないる。(人間も正常で口の中に菌がいっぱいいるのと同じ)正常を知らないと異常がわからない。
また他にも同じようにそのう検査をすると、白血球が出てくることがある→ 鳥で多い病気の一つである副鼻腔炎で鼻水を飲み込んでそのうに溜まってい るのを検出→そのう炎と診断というケースもあります。
まとめ
そのう炎はほどんど起こらない
鳥は正常でも吐き戻しをする動物。でも一部の鳥ではしない。
補足
いろいろそのう炎について話してきましたが、必ずしも悪い事ばかりではないので、訂正する必要はないのかな?、と思っている。 飼い主さんが吐き戻ししているから「そのう炎?」ということで来院されることで来院の機会が得られる。
その結果、いろんな追加検査をすることで違う病気が見つかったり、飼育環境についてなど、その他いろんな問題点を未然に防ぐお話 をすることができる。
中途半端な知識で「この鳥は正常でも吐き戻しするのでこれは異常ではない」と根拠のない診断をして本当の病気を見逃して手遅れ になるよりは、「そのう炎かと思って来院したけど、そうじゃなくて良かった!」の方が断然マシ!
もっというと、病気じゃなくても病院に気軽に来てもらった方が、みなさんにとってもメリット大きいと思う。毎回病気で病院とな ると嫌なことをする場所、が定着してまう。病気じゃないときに来て、先生に触ってもらっておやつをもらって帰るだけ、それだけ で病院を好きになってくれると思う。そういういい学習と習慣を取り入れてほしい。
何はともあれ、吐き戻ししていたら、とりあえず病院へ相談を!(鳥を飼う前に・・・にある動画参照。体重の変動を記録つけてあ るとなお良い)
「正しい情報を知って、正しく恐れる」ことを目的にお話しさせていただきました。
YouTubeチャンネルでは動物の様々な病気や飼い方についてのことを伝えています。あなたがペットを飼っているのであれば、ぜひチャンネル登録してくださいね。動画でもご覧ください!ありがとうございまいした~安田でした~