犬の避妊去勢手術のメリットデメ リット

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約3000匹ほどのわんちゃんを診療しています。
今回は、犬の「避妊・去勢手術のメリット・デメリット」についてお伝えしたいと思います。
当院では基本的には避妊・去勢手術をお勧めしていますが、判断は分かれます。ちなみ に、僕も犬や猫を飼っていますが、みんな避妊去勢手術をしました。自分でしました!
わんちゃんの避妊・去勢手術をするかどうか、悩んでいらっしゃる方は、是非とも最後までご覧ください。

避妊去勢手術とは

去勢手術というと、男の子も女の子もどっちでも中性化する手術というふう に思われている方も多いとは思いますが、僕らの業界では去勢手術という と、男の子のタマタマをとる手術。全身麻酔で、精巣を摘出する手術のことを 言います。
それに対して女の子の場合は避妊手術とか不妊手術と言います。 いずれも、手術というだけあって、全身麻酔になります。
避妊は一時的に妊娠を避けるような言葉だと思うので、本来は今後一生涯妊 娠できない様にする手術という点では不妊の方があっているとは思います が、避妊という言葉が定着しているせいで、不妊は浸透しません。

避妊・去勢手術のメリット

1。望まれない交配による妊娠を避ける 2。性ホルモンに関係した問題行動の予防 マウンティング(交配行動、自分の方が優位であることを示す) めす:偽妊娠、発情出血。おす:攻撃性、マーキング ※これらは、去勢すると完全にゼロになるわけではない 3。男の子・女の子特有の病気の予防 男の子:精巣腫瘍、会陰ヘルニア、前立腺肥大症 女の子:卵巣腫瘍・嚢胞、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍

去勢手術のデメリット

麻酔のリスク、2008年の論文になりますが、健康な犬で0.05%、猫が0.1% 報告されてから13年経過、昔より安全に麻酔できるようにはなっていると思 います。避妊去勢手術で亡くなったわんちゃんは当院ではいません。
太りやすくなる:基礎代謝が20ー30%低下する。食欲が増進する→太った結 果として起こる病気のリスクが増える

避妊・去勢手術の時期

生後半年前後をおすすめ
ある程度、内臓の機能もしっかりして(麻酔のリスク↓)、精巣が降りてきている状
態。
生後半年以上であるからできないわけではない。けど、マーキング行為とかは学習に よる定着があると去勢後も残ることがあるので、なるべく早めにすることをおすすめ する
女の子は1回目までの発情で乳腺腫瘍の発生率が8%。2回目以降では25%、4頭に1 頭は避妊手術したけど、乳腺腫瘍になってしまった。1回目の発情までに避妊手術す ることをお勧めしています。
乳歯が残っているときは、一緒に抜歯してしまうこともあります。

避妊・去勢手術の費用

病院によってまちまちですが、2、3万円~ってかんじです。
超大型犬になると5ー10万円ぐらいするところもあると思います。
これは犬の体重によっても違うし、病院によっても違うし、地域によっても
違います。
あとは、術前検査といって麻酔のリスクを評価するために血液検査などを 行うことが多いのですが、別途費用がかかると思います。

まとめ

避妊去勢手術とは全身麻酔で卵巣や精巣を摘出する手術のこと
メリットは
1、望まれない交配による妊娠を避ける、
2、性ホルモンの関連した問題行動の予防(おす:マーキング行動、マウンティング、攻 撃性の低下)(めす:偽妊娠、発情出血)
3、女の子男の子特有の病気の予防(精巣腫瘍、会陰ヘルニア、前立腺肥大)(子宮蓄膿 症、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍)
デメリットは、麻酔のリスク、太りやすくなる 去勢手術の時期は生後半年前後。でもそれ以降でも可能

補足

去勢手術のメリットデメリットについてお伝えしてきましたが、どうでしたでしょうか?個人的にはおすすめはしていま すが、それぞれの考え方でいいと思います。
おすすめする理由としては、これらのメリットともありますが、避妊去勢手術をすることで性的なストレすが減少するメ リットも大きいと考えています。
お腹が空いているのに、ご飯がもらえない。眠くて仕方がないのに、眠らせてもらえない。そんなレベルに近いものでは ないかと想像します。
なので、繁殖を希望されないのであれば、避妊去勢手術をしてあげた方が、穏やかに過ごせるのではないかと思っていま す
冒頭で、うちの犬も猫も避妊手術去勢手術しましたとお伝えしましたが、こういう仕事だからなのか、前立腺肥大で排便 がうまくいかない、とか子宮蓄膿症で亡くなってしまった愛犬などを見ているといたたまれない気持ちになりますし、こ ういうのをよく見てきて、愛犬も可哀想ですが、それで亡くなってしまった飼い主さんの気持ちも、やっとけばよかっ た・・・みたいなことを聞くと辛いですよね。

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