まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。
私は年間約5000羽ほどのインコやオウムさんの診療をしています。
今日は、犬と猫の病院で鳥を診察してもらった結果・・・ということでお話していきたいと思います。
結果が・・・となっていますが、なんとなくあまりいい内容がくる訳ではなさそうだな、と、感が良い方は思われたのではないで
しょうか。
実際に、鳥も診てくれると、その動物病院のホームページに書いてあるので行ってみたものの、なかなか良くならない、なんか言っ ていることが不安・・・ということで転院やセカンドオピニンで当院を受診され、検査した結果、こんなことがあったよ、ってい う内容をお伝えしたいと思います。
あらかじめお伝えしておきますが、そういう動物病院を批判したいわけはありません!こういうことが実際の現場で起こっていて、 かわいそうな鳥さん飼い主さんを減らしたい、そういう想いでお伝えしていきます。
近所だからその動物病院へ行っていらっしゃる方、犬や猫の動物病院に行っているけど、よくなっているかわからないという方は 是非とも最後までご覧頂ければと思います。
犬と猫の動物病院で鳥をみる時に起こる3つの間違い
1。犬や猫では異常でも、鳥では異常ではない 2。その鳥でしか見られない病気を知らな 3。同じお薬でも、鳥では一回量が犬や猫とは大きく違う
1。犬や猫では異常でも、鳥では異常ではない
吐き戻しについて、以前の動画でお伝えしましたが、セキセイインコとか鳥の 種類によっては、吐き戻しは正常でもします。
犬や猫では基本的には何度も吐き戻ししていたら異常なんですが、鳥ではそう ではないことがあります。
僕も、獣医師免許取り立ての時、鳥のセミナーでこのことを知ってびっくり しました。えー!!!って。ラブゲロー!!っていうネーミングセンスにびっ くりしました。
実際にあったケース
オカメインコさん
近所の動物病院で鳥も診てくれるということで健康診断
便検査すると、トリコモナスという寄生虫がいます!
駆虫剤というお薬を飲んで治療していきましょう。
1週間後に来院。便検査したけど、まだ寄生虫はいます。もう少し継続して見ましょう・・・
2週間経っても、1ヶ月経っても、ずっとお薬飲んでいるけど、便検査すると寄生虫は検出される。。。でも、オカメインコさんは 至って元気で、下痢したりとか何も症状はない。
当院で便検査すると、これはヘキサミタという寄生虫でして、オカメインコでは正常なので、駆虫の必要はありませんよ!ってい うか、お薬でいなくならない。
人間でいえば、うんちの中に細菌がいっぱいいるから抗生剤で駆除しましょうって言われているのと同じ感じ。抗生剤をずっと飲ん でもうんちの中の細菌はいなくならないですよね。
2。その鳥でしかみられない病気を知らない
大学でセキセイインコの病気を習うことはありません。
マクロラブダス症、PBFD、この動画をご覧になっている方はいくつかご存知だと思いますが、犬や猫しか診 療しない獣医さんは、病名すら知りません。
そうすると、どんな症状があったらどんな病気を疑うのかも知りません。
例えるなら、ウォーリーの特徴を知らされずに、ウォーリーを探せ、をやらされているのと同じです。「なん か名前的に外国人っぽいんだけど、それらしいのいっぱいいるけど・・」みたいな。
ウォーリーの特徴、三角帽かぶって、眼鏡かけて、赤白のボーダー着てみたいなのを知っているからいっぱい いる人の中からウォーリーを見つけることができる。
この鳥の種類で、この症状で、この検査結果ならこの病気っていうその病気の特徴を知っているから病気を 見つけることができる。
実際にあったケース
セキセイインコさん
近所の動物病院で健康診断で便検査
異常ないって言われたけど・・・
当院で便検査するとこの写真(図1)。マクロラブダスっていうカビがいま す!
3。同じお薬でも、鳥では一回量が犬や猫と大きく違う
犬や猫で使用されるお薬の10倍の薬用量じゃないと効果がないものもある。 例:アモキシシリンとか 十分な量のお薬を飲まないと、飲んでいないのと同じ状態。 つまり、お薬を飲んでいる風になっている。
逆に多すぎる場合も。
実際にあったケース
セキセイインコさん
体を気にして齧っている 近所の動物病院で人間用のステロイド入りの軟膏を処方 ステロイドの副作用である糖尿病になってしまった 糖尿病になると、、徐々に痩せていって最終的には亡くなってしまいます。
まとめ
犬と猫の動物病院で鳥をみる時に起こる3つの間違い
1。犬や猫では異常でも、鳥では異常ではない 2。その鳥でしか見られない病気を知らない 3。同じお薬でも、鳥では一回量が犬や猫とは大きく違う
鳥=犬や猫を小さくした動物、と考えているからこういうことが起こってしまう。けど、 実際は違う!
補足
実際に起こったことに関してお伝えしてみました。いかがだったでしょうか?
鳥の専門病院にしか行ったことがない、という方はこういった現実があることにびっくりされたのではないでしょうか。
でも、一部を除いては地方ではこれが普通なんです。
そして、今回挙げた例は比較的よく起こるケースのみをあげましたが、それ以外にも本当に可哀想な診断や治療をされているケースもあります。
これは、いろんなスタンスの動物病院があって、一概にそういった診断をする動物病院が悪いとも言えません。その地域ではどの動物病院でも鳥の診療はしていないの で、わからないなりに、その動物の命を助けたいという想いで日々、診療されている先生もいらっしゃいます。
ただ、是非ともみなさんに知っておいて欲しいのは、「鳥を診る」動物病院なのか、「鳥も診る」動物病院なのかを事前に確認してから行っていただきたい、それだけ です。
「鳥も診る」動物病院の9割以上は、基本的には犬や猫しか診療せず、たまにくる鳥さんの診療を犬や猫の診断基準に照らし合わせて判断して、犬や猫の治療方針に基 づいて治療しています。誤解を恐れずに表現するなら、犬や猫の診療の傍ら、ついでに「鳥も診る」そういう動物病院がほとんどだと思います
そうなんです、十分な治療の経験もない上に、あっているかどうかわからない検査や治療方針で経過をみていくことになります。今回お伝えしたようなことが起こって 良いわけではありませんが、起こっても仕方がない状況だと思います。
今日、この話を最後まで聞いていただいた方、「鳥も診る」動物病院しかないのであれば仕方ありませんが、そうじゃない方は、是非とも、「鳥を診る」動物病院を選 んでいただければ、獣医師サイドもわからない動物の診療をしなくても済みますし、飼い主さんも可哀想な鳥さんも減るのではないかなと、そうなれば、今日お伝えし た甲斐があります。
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