まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。
日は、犬と猫の病院でハリネズミを診察してもらった結果・・・ということでお話していきたいと思います。
結果が・・・となっていますが、なんとなくあまりいい内容がくる訳ではなさそうだな、と、感が良い方は思われた
のではないでしょうか。
実際に、ハリネズミも診てくれると、その動物病院のホームページに書いてあるので行ってみたものの、なかなか良 くならない、なんか言っていることが不安・・・ということで転院やセカンドオピニンで当院を受診され、検査した 結果、こんなことがあったよ、っていう内容をお伝えしたいと思います。
あらかじめお伝えしておきますが、そういう動物病院を批判したいわけはありません!こういうことが実際の現場で 起こっていて、かわいそうなハリネズミさんと飼い主さんを減らしたい、そういう想いでお伝えしていきます。
近所だからその動物病院へ行っていらっしゃる方、犬や猫の動物病院に行っているけど、よくなっているかわからな いという方は是非とも最後までご覧頂ければと思います。
犬と猫の動物病院でハリネズミをみる時に起こる3つの間違い
1。ハリネズミでしか見られない病気を知らない 2。犬や猫では異常でも、ハリネズミでは正常であることを知らない 3。犬や猫では正常でも、ハリネズミでは異常であることを知らない
1。ハリネズミでしかみられない病気を知らない
大学でハリネズミの病気を習うことはありません。
その病気で見られる症状というのは、その病気の特徴なんですよね。なので、症状を知っておくの は非常に重要なんです。
例えるなら、ウォーリーの特徴を知らされずに、ウォーリーを探せ、をやらされているのと同じで す。「なんか名前的に外国人っぽいんだけど、それらしいのいっぱいいるけど・・」みたいな。
ウォーリーの特徴、三角帽かぶって、眼鏡かけて、赤白のボーダー着てみたいなのを知っているか らいっぱいいる人の中からウォーリーを見つけることができる。
ハリネズミで、この症状で、この検査結果ならこの病気っていうその病気の特徴を知っているから 病気を見つけることができる。
実際にあったケース
ハリネズミさん
近所の動物病院で血尿しているので診て欲しい。
特に検査せずに、膀胱炎でしょう、抗生剤飲んで様子見ましょう。
一時的に血尿が治るタイミングもあるけど、繰り返していて改善していない。
当院を受診して検査してみると、子宮からの出血で重度の貧血。子宮内膜過形成の可能 性が高いので手術しましょう。
気が付かずにそのままになると、出血多量でなくなってしまっていたかもしれません。
2。犬や猫では異常でも、ハリネズミでは正常であることを知らない
犬では精巣、いわゆるたまたまですね、片方しかない場合、これは異常でし て、潜在精巣っていうのが病気になります。
でもハリネズミでは、それは異常ではありません。
実際にあったケース
ハリネズミさん
近所の動物病院へ、お腹にできもの、しこりがあるということで来院した。
触ろうとすると丸まってしまうので、かい主さんの言い分と、なんと見れたお腹の状態で、これは腫瘍で す。手術して取らないといけません。と言われたそうです。
本当に手術で取らないといけないものなのか不安になった飼い主さんは当院をセカンドオピニオンで受診。
見た目にももちろん、触診にてしっかりと確認させていただいたところ、正常な清掃ですよ!ってなりまし た。ハリネズミさんの精巣は正常でもお腹の中に移動するので、出たり入ったりするんです。なので、片方 しかたまたまがない場合もあるんです。
これに気が付かないと、取らなくていい正常な精巣を手術で取ることになっていたかもしれません。
3。犬や猫で正常でも、ハリネズミでは異常
実際にあった例としては
犬は発情すると陰部から出血するんですが、ハリネズミもそうだと思っていら っしゃる獣医さんがいらっしゃいます。イン部から出血があって生理なのでそ のまま様子を見ましょう、ってなってたケースもあります。ハリネズミは発情 で出血することがないので、これは子宮の病気が疑われます。すぐに手術が必 要になるケースも多いので注意が必要です。
気づかずにいると、出血多量でなくなってしまうかもしれません。
まとめ
犬と猫の動物病院でハリネズミをみる時に起こ る3つの間違い
1。ハリネズミでしか見られない病気を知らない 2。犬や猫では異常でも、ハリネズミでは正常であることを知らない 3。犬や猫では正常でも、ハリネズミでは異常であることを知らない ハリネズミさん=犬や猫を小さくした動物という考え方で検査、治療をする
補足
実際に起こったことに関してお伝えしてみました。いかがだったでしょうか?
ハリネズミさんの飼育頭数は増えていますが、実際にちゃんと診療できる動物病院は少ないのが現状です。一部地域を除いては地方ではこれが普通なんです。
そして、今回挙げた例は比較的よく起こるケースのみをあげましたが、それ以外にも本当に可哀想な診断や治療をされているケースもあります。
これは、いろんなスタンスの動物病院があって、一概にそういった診断をする動物病院が悪いとも言えません。その地域ではどの動物病院でもハリネズミさんの診療は していないので、わからないなりに、その動物の命を助けたいという想いで日々、診療されている先生もいらっしゃいます。
ただ、是非ともみなさんに知っておいて欲しいのは、「ハリネズミを診る」動物病院なのか、「ハリネズミも診る」動物病院なのかを事前に確認してから行っていただ きたい、それだけです。
「ハリネズミも診る」動物病院の9割以上は、基本的には犬や猫しか診療せず、たまにくるハリネズミさんの診療を犬や猫の診断基準に照らし合わせて判断して、犬や猫 の治療方針に基づいて治療しています。誤解を恐れずに表現するなら、犬や猫の診療の傍ら、ついでに「ハリネズミも診る」そういう動物病院がほとんどだと思います
そうなんです、十分な治療の経験もない上に、あっているかどうかわからない検査や治療方針で経過をみていくことになります。今回お伝えしたようなことが起こって 良いわけではありませんが、起こっても仕方がない状況だと思います。
今日、この話を最後まで聞いていただいた方、「ハリネズミも診る」動物病院しかないのであれば仕方ありませんが、そうじゃない方は、是非とも、「ハリネズミを診 る」動物病院を選んでいただければ、獣医師サイドも「あまり見たことない動物だけど、来院されたのでなんとか見てみよう」みたいな診療拒否するのも申し訳ないか ら見るけどそれであっているのか不明みたいない診療をしなくてもいいし、飼い主さんも可哀想なウサギさんも減るのではないかなと、そうなれば、今日お伝えした甲斐があります。
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