犬と猫の病院でハムスターを診療 してもらった結果・・・

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

今日は、犬と猫の病院でハムスターを診察してもらった結果・・・ということでお話していきたいと思います。
結果が・・・となっていますが、なんとなくあまりいい内容がくる訳ではなさそうだな、と、感が良い方は思われた
のではないでしょうか。
実際に、ハムスターも診てくれると、その動物病院のホームページに書いてあるので行ってみたものの、なかなか良 くならない、なんか言っていることが不安・・・ということで転院やセカンドオピニンで当院を受診され、検査した 結果、こんなことがあったよ、っていう内容をお伝えしたいと思います。
あらかじめお伝えしておきますが、そういう動物病院を批判したいわけはありません!こういうことが実際の現場で 起こっていて、かわいそうなハムスターさんやその飼い主さんを減らしたい、そういう想いでお伝えしていきます。
近所だからその動物病院へ行っていらっしゃる方、犬や猫の動物病院に行っているけど、よくなっているかわからな いという方は是非とも最後までご覧頂ければと思います。

犬と猫の動物病院でハムスターをみる時に起こる4つの間違い

1。ハムスターでしか見られない病気を知らない 2。犬や猫では異常でも、ハムスターでは正常なのを知らない 3。犬や猫では正常でも、ハムスターでは異常なのを知らない
4。犬や猫では大丈夫でもハムスターでは使用禁止のお薬があることを知らな い

1。ハムスターでしかみられない病気を知らない

大学でハムスターの病気を習うことはありません。
病気を診断するためには、その病気の特徴具体的には症状を知らないと疑うこともできません。
例えるなら、ウォーリーの特徴を知らされずに、ウォーリーを探せ、をやらされているのと同じ です。「なんか名前的に外国人っぽいんだけど、それらしいのいっぱいいるけど・・」みたい な。
ウォーリーの特徴、三角帽かぶって、眼鏡かけて、赤白のボーダー着てみたいなのを知っている からいっぱいいる人の中からウォーリーを見つけることができる。
ハムスターで、この症状で、この検査結果ならこの病気っていうその病気の特徴を知っているか ら、そうじゃない病気を除外できるし、適切な診断につながりやすいですよね。

実際にあったケース1

ジャンガリアンハムスターさん
背中が脱毛しているということで近所の動物病院へ診察へ
特に検査せずに、皮膚炎でしょう、抗生剤飲んで様子見ましょう。
1週間ご、改善ないですねーお薬はしっかり飲めてますか?(飼い主さんの投薬がうまくいっていないかどうか確認される)
もう1週間、違うお薬飲んで様子を見てください。
2週間、1ヶ月飲んでも改善ない・・・・ということで当院をセカンドオピニオンで来院されました。
背中の脱毛、(もうあれだな・・・)回し車やトンネルなどで、何度も背中をぶつけるところはありませんか?飼い主さん:確 かにあります!
それでは、抗生剤は不要ですので、その背中がぶつかるところだけ無くして様子を見て1、2週間後に見せてください 次に来た時には徐々に毛が生えている、よかったですねー!

実際にあったケース2

ジャンガリアンハムスターさん お腹が脱毛して、引っ掻いて真っ赤になっているということで近所の動物病院へ診察へ 特に検査せずに、皮膚炎でしょう、抗生剤飲んで様子見ましょう。 1週間、あまり改善ないですねーもう1週間、違うお薬飲んで様子を見てください。 2週間、1ヶ月飲んでも改善ない・・・・ということで当院をセカンドオピニオンで来院されました。 お腹の脱毛、(もうあれだな・・・)床材、木のチップを使用していませんか? 飼い主さん:はい、確かにこういうのを使用してます(写真を見せてくれる) おそらく、アレルギーだと思うので、痒み止めを飲んで1、2週間後に見せてください 次に来た時には徐々にかゆみも減って、毛が生えている、よかったですねー!

2。犬や猫では異常でも、ハムスターでは異常ではない

犬や猫でほっぺたが腫れていたら、歯周病など歯が問題のこと、腫瘍ができ ている場合など、問題が起こっている場合がほとんどです。
しかしながら、ハムスターでは必ずしもそういうわけではありません。

実際にあったケース3

1歳になるジャンガリアンハムスターさん
最近よく、ほっぺたが腫れているのが不安。
ハムスターさんも診療可能ということで、近所の動物病院でみてもらうことに。
実際に診察してもらったところ、これは腫瘍ですよ!手術してとったほうがいいと思います!!
あまりにすぐに診断して、切除と言われて不安になった飼い主さん、セカンドオピニオンに来院されました。
実際にみてみると、頬袋に餌が溜まっていただけ・・・過剰に溜まっていたご飯を飼い主さんの目の前で取
り出してあげて引っ込んだ頬袋をみて一安心、ことなきを得ることができました。
もし、餌だと分からずに、そのまま手術していたらと思うとゾッとしますよね。取らなくてもいい正常な組織 を間違えて切除されてしまうところだったかもしれません。

3。犬や猫で正常でも、ハムスターでは異常

実際にあった例としては
犬は発情すると陰部から出血するんですが、ハムスターもそうだと思ってい らっしゃる獣医さんがいらっしゃいます。イン部から出血があって生理なので そのまま様子を見ましょう、ってなってたケースもあります。ハムスターは発 情で出血することがないので、これは子宮の病気が疑われます。すぐに手術が 必要になるケースも多いので注意が必要です。
気づかずにいると、出血多量でなくなってしまうかもしれません。

4。犬や猫では大丈夫でもハムスターでは使用禁止のお薬がある

セフェム系やペニシリン系などと呼ばれる抗生剤はハムスターでは使用する と最悪なくなってしまう危険性があります。
犬や猫の動物病院でありがちなのが、とりあえず抗生剤を処方されてしまう ケース
使っても大丈夫なお薬は決まっているんですね。 お薬は使用を間違えると、確実に副作用があります

まとめ

犬と猫の動物病院でハムスターをみる時に起こる4つ の間違い
1。ハムスターでしか見られない病気を知らない 2。犬や猫では異常でも、ハムスターでは正常なのを知らない 3。犬や猫では正常でも、ハムスターでは異常なのを知らない 4。犬や猫では大丈夫でもハムスターでは使用禁止のお薬があることを知らない ハムスターさん=犬や猫を小さくした動物という考え方で検査、治療をする

補足

実際に起こったことに関してお伝えしてみました。いかがだったでしょうか?
でも、一部を除いては地方ではこれが普通なんです。
そして、今回挙げた例は比較的よく起こるケースのみをあげましたが、それ以外にも本当に可哀想な診断や治療をされているケースもあります。
これは、いろんなスタンスの動物病院があって、一概にそういった診断をする動物病院が悪いとも言えません。その地域ではどの動物病院でもハムスターの診療は していないので、わからないなりに、その動物の命を助けたいという想いで日々、診療されている先生もいらっしゃいます。
ただ、是非ともみなさんに知っておいて欲しいのは、「ハムスターを診る」動物病院なのか、「ハムスターも診る」動物病院なのかを事前に確認してから行ってい ただきたい、それだけです。
「ハムスターも診る」動物病院の9割以上は、基本的には犬や猫しか診療せず、たまにくるハムスターさんの診療を犬や猫の診断基準に照らし合わせて判断して、犬 や猫の治療方針に基づいて治療しています。誤解を恐れずに表現するなら、犬や猫の診療の傍ら、ついでに「ハムスターも診る」そういう動物病院がほとんどだと思 います。ハムスターさんを十分なレベルで診療するだけの準備がない状態で診療しているのが現状。
そうなんです、十分な治療の経験もない上に、あっているかどうかわからない検査や治療方針で経過をみていくことになります。今回お伝えしたようなことが起こっ て良いわけではありませんが、起こっても仕方がない状況だと思います。
今日、この話を最後まで聞いていただいた方、「ハムスターも診る」動物病院しかないのであれば仕方ありませんが、そうじゃない方は、是非とも、「ハムスター をちゃんと診る」動物病院を選んでいただければ、獣医師サイドも「なんか、あまり見たことないハムスターが来ちゃったから、わからないなりに診療する か・・・」、っていうことも減りますし、飼い主さんも可哀想なハムスターさんも減るのではないかなと、そうなれば、今日お伝えした甲斐があります。

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