犬と猫の病院でウサギを診療して もらった結果・・・

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約1500羽ほどのウサギさんの診療をしています。
今日は、犬と猫の病院でウサギを診察してもらった結果・・・ということでお話していきたいと思います。
結果が・・・となっていますが、なんとなくあまりいい内容がくる訳ではなさそうだな、と、感が良い方は思われたのではないで
しょうか。
実際に、ウサギも診てくれると、その動物病院のホームページに書いてあるので行ってみたものの、なかなか良くならない、なんか 言っていることが不安・・・ということで転院やセカンドオピニンで当院を受診され、検査した結果、こんなことがあったよ、っ ていう内容をお伝えしたいと思います。
あらかじめお伝えしておきますが、そういう動物病院を批判したいわけはありません!こういうことが実際の現場で起こっていて、 かわいそうなウサギさん飼い主さんを減らしたい、そういう想いでお伝えしていきます。
近所だからその動物病院へ行っていらっしゃる方、犬や猫の動物病院に行っているけど、よくなっているかわからないという方は 是非とも最後までご覧頂ければと思います。

犬と猫の動物病院でウサギをみる時に起こる4つの間違い

1。ウサギでしか見られない病気を知らない 2。犬や猫では異常でも、ウサギでは異常ではない 3。犬や猫では正常でも、ウサギでは異常 4。犬や猫では大丈夫でもウサギでは使用禁止のお薬がある

1。ウサギでしかみられない病気を知らない

大学でウサギの病気を習うことはありません。
不正咬合という病気、うったいなど、このYouTubeチャンネルをご覧になっている方はいくつかご存 知だと思いますが、犬や猫しか診療しない獣医さんは、病名は知っていますが、どんな症状だと疑う のかは知りません。
例えるなら、ウォーリーの特徴を知らされずに、ウォーリーを探せ、をやらされているのと同じで す。「なんか名前的に外国人っぽいんだけど、それらしいのいっぱいいるけど・・」みたいな。
ウォーリーの特徴、三角帽かぶって、眼鏡かけて、赤白のボーダー着てみたいなのを知っているから いっぱいいる人の中からウォーリーを見つけることができる。
ウサギで、この症状で、この検査結果ならこの病気っていうその病気の特徴を知っているから病気を 見つけることができる。

実際にあったケース

ミニウサギさん(mix)
近所の動物病院で血尿しているので診て欲しい。
特に検査せずに、膀胱炎でしょう、抗生剤飲んで様子見ましょう。
一時的に血尿が治るタイミングもあるけど、繰り返していて改善していない。
当院を受診して検査してみると、子宮からの出血で重度の貧血。子宮内膜過形成の可能 性が高いので手術しましょう。
気が付かずにそのままになると、出血多量でなくなってしまっていたかもしれません

2。犬や猫では異常でも、ウサギでは異常ではない

ウサギは二種類のうんちをするんですが、一つは硬い便、もう一つは盲腸便 と言って柔らかいうんちをします。
これで知らない獣医さんでは、これを下痢と勘違いしてずっと整腸剤を内服し て改善がないってこられたケースがありました。

実際にあったケース

ネザーランドドワーフさん
近所の動物病院へ、血尿をしているということで来院した。
尿の状態を見て、膀胱炎でしょう、抗生剤の内服で様子を見ましょう・・・
1週間後に来院したけど、血尿は変わっていない、違う抗生剤に変更してもう少し継続して見ましょう・・・
2週間経っても、1ヶ月経っても、ずっとお薬飲んでいるけど、血尿が繰り返される。
当院で尿検査すると、血尿ですらなく、正常な尿です!
うさぎさんでは、正常でも赤いおしっこをするんですね。黄色いおしっこもしますが、食べているものによって赤 いおしっこになることもあるので、これを異常と判断してしまったら、ずっと治らないことになってしまいます。
これに気が付かないと飲み続ける抗生剤の副作用と、無駄な費用がかかってしまいます。

3。犬や猫で正常でも、ウサギでは異常

実際にあった例としては
犬は発情すると陰部から出血するんですが、ウサギもそうだと思っていらっ しゃる獣医さんがいらっしゃいます。イン部から出血があって生理なのでその まま様子を見ましょう、ってなってたケースもあります。ウサギは発情で出血 することがないので、これは子宮の病気が疑われます。すぐに手術が必要にな るケースも多いので注意が必要です。
気づかずにいると、出血多量でなくなってしまうかもしれません。

4。犬や猫では大丈夫でもウサギでは使用禁止のお薬がある

セフェム系やペニシリン系などと呼ばれる抗生剤はウサギでは使用すると最悪なくなって しまう危険性があります。
抗生剤はよく使うのか 使っても大丈夫なお薬は決まっているんですね。
他にも、ダニなどの駆除剤の一部も、犬や猫では大丈夫でもウサギで使用すると神経症状 を起こす危険性があるお薬があります。
知らないで、犬や猫と同じような感じで使用すると調子を崩してしまうことがあります。 お薬は使用を間違えると、確実に副作用があります。

まとめ

犬と猫の動物病院でウサギをみる時に起こる4つの間 違い
1。ウサギでしか見られない病気を知らない 2。犬や猫では異常でも、ウサギでは異常ではない 3。犬や猫では正常でも、ウサギでは異常 4。犬や猫では大丈夫でもウサギでは使用禁止のお薬がある うさぎさん=犬や猫を小さくした動物という考え方で検査、治療をする

補足

実際に起こったことに関してお伝えしてみました。いかがだったでしょうか?
ウサギの専門病院にしか行ったことがない、という方はこういった現実があることにびっくりされたのではないでしょうか。
でも、一部を除いては地方ではこれが普通なんです。
そして、今回挙げた例は比較的よく起こるケースのみをあげましたが、それ以外にも本当に可哀想な診断や治療をされているケースもあります。
これは、いろんなスタンスの動物病院があって、一概にそういった診断をする動物病院が悪いとも言えません。その地域ではどの動物病院でもウサギの診療はしていな いので、わからないなりに、その動物の命を助けたいという想いで日々、診療されている先生もいらっしゃいます。
ただ、是非ともみなさんに知っておいて欲しいのは、「ウサギを診る」動物病院なのか、「ウサギも診る」動物病院なのかを事前に確認してから行っていただきたい、 それだけです。
「ウサギも診る」動物病院の9割以上は、基本的には犬や猫しか診療せず、たまにくるウサギさんの診療を犬や猫の診断基準に照らし合わせて判断して、犬や猫の治療 方針に基づいて治療しています。誤解を恐れずに表現するなら、犬や猫の診療の傍ら、ついでに「鳥も診る」そういう動物病院がほとんどだと思います
そうなんです、十分な治療の経験もない上に、あっているかどうかわからない検査や治療方針で経過をみていくことになります。今回お伝えしたようなことが起こって 良いわけではありませんが、起こっても仕方がない状況だと思います。
今日、この話を最後まで聞いていただいた方、「ウサギも診る」動物病院しかないのであれば仕方ありませんが、そうじゃない方は、是非とも、「ウサギを診る」動物 病院を選んでいただければ、獣医師サイドもわからない動物の診療をしなくても済みますし、飼い主さんも可哀想なウサギさんも減るのではないかなと、そうなれば、 今日お伝えした甲斐があります。

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