怖い病気、メガバクテリア・マクロラブダス症について

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています

私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。
今回は、皆さんから質問が多かったものの一つとして、インコとオウムさんのメガバクテリ ア症についてお話ししたいと思います。普段の診察をする中で遭遇する機会も多く、勘違い も多い病気の一つです。
今日のお話を知っておくだけで、メガバクテリア症の実際について少し理解が深まるとは思います。
ネットでまことしやかに囁かれている、無駄に恐怖を煽る内容に戦々恐々とされている方、現在、治療中の方は、是非とも最後までご覧ください。

メガバクテリアの現状

【感染しやすい鳥】 セキセイインコ、マメルリハ、キンカチョウ、カナリア(特に前二つ)
【感染率】
当院では約50%ぐらい(2羽に1羽は感染している) セキセイインコの飼育頭数が一番多く、日本では最も遭遇率が高い病気。
鳥を診察する獣医師(だけではなく繁殖業者や飼い主さん)にとっては最も重要視されている病気の一つ。

主な症状

免疫力の低下で発症することも。5年経過すると発症率100%という報告もある。
最初は症状なし!だから厄介!
かなり長い間、胃に感染していることで徐々に進行して症状が出ることも。そうなると、治療をしてカビがいなくなっても、胃がボロボロになってあまり長生き
できない。
主に、胃炎(吐いたり、お腹痛い、胃潰瘍で黒いうんち)と消化不良(つぶつぶの便)そうすると痩せてくる。
胃がんの原因にもなったりすると言われている

なんでこんなに感染が多いの?

【どこにいるの??】
胃の粘膜にいる(胃酸でやられないように防御している)
【どうやって感染するの?】
ひなの時はお母さんから、吐き戻したご飯をもらう。そのお母さんがメガバクに感染して いた時、一緒にひなももらってしまう。(垂直感染)
同居の鳥の便や吐き戻したものをもらって感染することもある 感染した鳥がマクロラブダス症で亡くなる前に周囲にある程度ばら撒いてから発症する。

感染していたらどうしよう 治療は?

抗真菌剤というカビをやっつけるお薬を飲む 。
耐性菌という効かない菌も増えてきている 。
治療をすればほぼ100%駆除できる。

どんな検査をして診断するの?

便検査で特徴的なメガバクの形態から診断する

そもそもメガバクテリアって何?

直訳すると「おっきい細菌」
顕微鏡で目にする一般的な細菌のサイズは決まっているが、それを超えておっきいくて、これって何??ってなって、ちゃんとした学名がなかったので便宜 上、「メガバクテリア」って名付けた。
それが、2003年に正式な学名が決まって「マクロラブダス」となった
しかしながら、なかなか一般の方には浸透せず、メガバクテリア通称「メガバ ク」という名前が流通している。
それで、これまで細菌の一種というふうに思われていたが、これは真菌という カビの一種ということがわかっている。

まとめ

メガバクテリアはマクロラブダスに改名
特にセキセイインコ、マメルリハで多い
日本で最も蔓延している感染症の一つで重要視されている
感染したお母さんからもらった餌などで感染。
症状は最初は症状なし!進行すると胃炎(吐いたり。お腹いたい)と消化不良
(未消化べん)で治療をしても後遺症が残ることも
診断は便検査で
治療は抗真菌剤でも耐性菌が問題になってきてる

補足

最初にお伝えした通り、かなりの数が感染しており、日本では蔓延してしまっているのが現状。
大人の事情もあってか、繁殖業者やペットショップでインコやオウムの病気の有無の検査をしていない状態で販売 されている
1羽でもメガバクに感染した鳥がいると周りにもうつしてしまう(集団感染)。
この動画を見てくれた方で、少しでもこの現状を知っていただき、問題と思っていただけたなら、感染数を減らす 努力をしていただけたら幸にございます。特に繁殖業者とペットショップの方。
ペットショップからセキセイインコやマメルリハなどをお迎えした飼い主さんは、なるべく早めに動物病院で健康 診断を受けることをお勧めします。理由は先ほどもお伝えした通り、症状が出てからでは遅いからです。
また、一度の便検査だけでは見逃すこともあるので、何度かする必要があります。(検査の限界) どこの動物病院でもこの検査と治療をしてくれるわけではないので、それが可能かどうか確認を

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