ボールパイソンで多い病気5選

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

日はボールパイソンという蛇についてです。僕も飼っています。
なんでもそうなのかもしれませんが、予防が第一です。しかしながら、それが難しい場合は、早期発見早期治療が その次に重要となります。特にこういったエキゾチックアニマルと呼ばれる動物は症状が出てからではなかなか完 治が難しい場合も多いです。
今回の動画で病気を知ってもらい、症状が見つかったらすぐに病院に連れて行ってもらいたいと思い作りました。 もちろん他にも病気はたくさんあります。異常があったらすぐに病院へ連れて行ってください。
また病気を防ぐ方法として、飼い方があります。その内容については概要欄に貼ってある「ボールパイソンを飼う 前で知っておくべき7つのこと」の動画をご覧ください。
それでは行ってみましょう!

1。脱皮不全

どんな病気か)蛇は脱皮する動物。その脱皮がうまくいかない状態。
(どうなってしまうのか煽る)尻尾の先端とかに残りやすい。そうすると、脱皮の皮がリング状に 残ってしまい、水分が飛んで萎縮していく過程で、鬱血(うっけつ)して組織が壊死してしまう。
(原因)湿度が低い
(もし(こんな症状が出たら)すぐに病院へ)洋服を脱ぐように綺麗に脱皮の皮がひと繋ぎになら ず、バラバラに皮が捲れて、ところどころ皮が残っている
(治療法)濡らして、少しずつ剥がす
(その他、豆知識・あるある・防ぎ方・ストーリーがあれば適宜)尻尾の先端以外に、目も残りやすい。

2。拒食

(どんな病気か)ご飯を与えても食べない状態(なので拒食は病名ではない)生理的拒食と病的拒食でわけ
られる。
(どうなってしまうのか煽る)原因によるけど、食べない状態が続くといずれは亡くなってしまう。
(原因)生理的拒食で多いのは、脱皮前。脱皮前になるとご飯を食べなくなる。次に多いのは生後2年を過ぎ ると秋の終わりから春先まで(10ー5月)は食事を取らない。期間は個体差あり。病的拒食の原因は色々あ るが、今回あげた呼吸器の感染症など全身状態が悪くなると食べなくなる。
(もし(こんな症状が出たら)すぐに病院へ)体重の減少が伴う拒食
(治療法)原因によるけど、病気によるものなら飼育環境を見直してお薬
(その他、豆知識・あるある・防ぎ方・ストーリーがあれば適宜)秋の終わりから春先の生理的拒食では半
年に及長期の拒食にもかかわらず体重の減少がほとんど見られない。

3。マイコプラズマ症

どんな病気か):細菌の一種で気管や肺に感染することで呼吸ができなくなってしまう。
(どうなってしまうのか煽る)発見が遅れたり、お薬が効かない病原体の場合、亡くなってしまう。元気や食欲も無くなってしま
う。
(原因)マイコプラズまという細菌が感染することで発症する
(もし(こんな症状が出たら)すぐに病院へ)よだれが多い、上を向いて口開けている(スターゲイジング)、呼吸のたびにゼー ゼー、キューキュー音がする(喘鳴:ぜんめい)
(治療法)抗生剤の注射や内服。
(その他、豆知識・あるある・防ぎ方・ストーリーがあれば適宜)ブリーダーの間でこういった症状が見られて急変するボールパイ ソンが増えて、場所によっては全滅したり。恐るべき感染力と致死力。数年前まで原因不明の呼吸器疾患だった。麻布大学ある研 究室で原因が解明された。
感染実験では1週間で病変が形成された。平均して19日で症状が出る。もう1匹お迎えしたい時、新しくお迎えしたボールパイソン は約3週間は隔離して、症状が出ないか確認。唾液で感染するので、餌やピンセットの使い回し注意。

4。尿酸づまり

どんな病気か)尿酸が結晶化してお尻(総排泄腔)に詰まってしまう
(どうなってしまうのか煽る)便秘になったり、その結果ご飯食べなかったり
(原因)水分不足、乾燥による脱水。室温低い
(もし(こんな症状が出たら)すぐに病院へ)お腹を触ると硬いものが、尿酸が排泄されていない。
便秘
(治療法)圧迫して尿酸を排泄させる(動画)
(その他、豆知識・あるある・防ぎ方・ストーリーがあれば適宜)冷凍庫に長期間保存されたマウ スは水分が飛んでしまうので解凍しても冷凍やけでパサパサな感じもご飯になってしまうことも。僕 らみたいにごくごく水を飲む姿をみることはないので、水が入らないと勘違いされている方もいる。

5。マウスロット

(どんな病気か)マウス(口)がロット(腐る)
(どうなってしまうのか煽る)ひどい口内炎が起こり、ぐちゃぐちゃに。痛くてご飯を食べること
ができなくなる
(原因)餌や環境が合わないなどストレスによる免疫力の低下
(もし(こんな症状が出たら)すぐに病院へ:口がよだれでねばねばしてる。ぷすぷす変な呼吸が している。舌が動かせない。白いチーズ様の分泌物が付着してる
(治療法)原因によるが抗生剤の投与+ストレスの改善
(その他、豆知識・あるある・防ぎ方・ストーリーがあれば適宜)こうなるとなかなか治らない。 骨にバイ菌が入ったりして全身に。亡くなってしまうことが多い。

今日お話ししたボールパイソンで多い病気5選をまとめます

1。脱皮不全:脱皮がうまくいかない状態。飼育環境に問題あるよ。 2。拒食:病気じゃない拒食と病気の拒食があるよ。原因をちゃんを 確認してね。 3。マイコプラズマ症:呼吸器感染症。感染力と病原性も強いよ。早 期発見して早期治療してね。蔓延させないように注意! 4。尿酸づまり:爬虫類におけるおしっこ(尿酸)の塊がお尻(総排 泄腔)に詰まる。脱水や水不足などが原因。うんちが出なくなるよ。 5。マウスロット:口が腐る病気。免疫力の低下が原因。亡くなって しまうこと多い。

補足

「病気」はある「原因」によって起こってしまった「結果」です。
その「結果」は何を意味しているのか?、をよく考えて欲しいと思います。
例えば、脱皮不全が見られたら、それは飼育環境がその子にあっていないということを意味しています。湿度が足りないのか、温度が足りないのか、そのま ま放置すると致死的な病気になってしまう危険性が高い。張り付いた脱皮の皮を治療によって綺麗に取れればそれでいい、一件落着・・・そういうことでは ない。原因を解決しないかぎり、また起こってしまいます。
マウスロットになってしまった→免疫力の低下が原因?ということは飼育環境が悪い?触りすぎのストレス?温度が低い?抗生剤飲んで運良く治ったから終わ り!ではないんです。尿酸づまりも水分不足などが原因
特に、これらの病気が多いということは、いかに、ボールパイソンさんにとって適切は飼育環境がとられていないかということ。僕らでいう普段着のまま北 極で生活してねって言っているようなもの。なかなか厳しいですよね。ボールパイソンさんはあの熱いアフリカから日本という冬とか寒い季節がある国にその ままの状態で来ていることを理解してあげてください。
これに関係してもう一つお伝えしたいのが、「火傷」がボールパイソンさんでまあまあ多いです。
火傷するところがどこにあるの?って思われる方も多いとは思うんですが、パネルヒーターというケージの下に敷くタイプの保温器具での低温やけどが多い です。どうしてこんなことが起こるのかというと、飼育環境の温度が低いから、パネルヒーターの上でじっとしていて低温やけどをしてしまいます。そもそ も、パネルヒーター以外の保温器具で温度管理すればいいって話なんですが、飼育書とかwebにもそう書いてあるので、そうしてしまうのかしれませんが、使 い方をよく考えてしないと事故になりやすい。

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