ヒョウモントカゲモドキを飼う前に知 っておくべき8つのこと

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

トカゲに関しては年間やく500匹ほど診察しますがその中でも一番来院数が多いのこのヒョウモントカゲモドキさんです。英名ではレオ パードゲッコーでヒョウモントカゲモドキは和名ですね。
人工繁殖が確立しており、流通は安定していること。カラーバリエーションも豊富で、何より丈夫で飼いやすい。大きくなりすぎず、か わいい!ここ数年は来院される飼い主さんの半分以上は女性ということで、僕が幼少期はトカゲさわれませんっていう女の子しかいな かったので、すごく意外な感じはしてしまいます。蛇も案外女性の飼い主さんが多いですからね。
初めて爬虫類をお迎えする時の入門種と言われている種類でもあります。
ヒョウモントカゲもどきさんは飼育環境がとっても大切です。なぜなら、ヒョウモントカゲモドキさんの病気のほとんどは飼育環境のト ラブルで発症してしまうからです。
飼育環境の何が問題で病気になってしまうのかを知っているだけで防げるものもあります。ならなくていい病気になって欲しくない。
そういう思いをこめて今日は可愛いヒョウモントカゲモドキさんのためにも、ヒョウモントカゲモドキを飼っているあなたのために も、これから飼おうかなと思っているあなたにも、ぜひ知っていてもらいたい9つのことをお話ししたいと思います。

1 温度管理が必要

大体25ー28度ぐらい。高くても30度までを維持する(この温度はあくまで参考基準 値、その動物の状態を見て調整する)。生体がいる場所に温度計も設置して確認。
トカゲは「外温動物」と言って外の気温に依存して代謝を回す動物。外の温度が高け れば代謝も高く、低ければ低くなる。
低いと動かなくなるしご飯も食べなくなるし、免疫力も低下してやがては弱っていっ てしまう。
温度管理は、一番無難な方法はエアコンで24時間管理。ですが、1匹だけとなると、 小型の温室を作るのがベター。またはパネルヒーターというホットカーペット

2湿度も管理が必要

大体50%ぐらい。(この湿度はあくまで参考基準値、その動物の状態を見て 調整する)。
脱皮不全という病気がとても多いが、その原因の一つが湿度の管理がうまく
いっていない場合。
壊死 管理方法

3パネルヒーターによる火傷に注意

大体25ー28度ぐらい。高くても30度までを維持するとお伝えしましたが、パネルヒータだ けでこの温度をキープしようとされている方がいらっしゃる!
特に、シェルターの下にパネルヒーターだけで室温が低い(適温に至っていない場合)パタ ーンは寒くて、パネルヒーターのところで温まっている、かつ、シェルターが暗くて安心す るのでそこにずっといる。
パネルヒーターまでの距離がないと、低温やけどに(尻尾やお腹や指)。脱皮不全になった
りする
火傷の処置法
ケージ全体を温めるのが無難。

4隠れる場所、シェルターを設置する

岩陰や、動物が掘った穴などに隠れて過ごしている。 夜行性なので、昼間はそこで隠れて過ごし、夜になるとご飯を求めて活動する ストレスなく安全に過ごせる場所を作ってあげる
一般的には上部に水を溜めて湿度を上げることができるもの。素焼きのものはかび生 えたり不衛生になりがちなので、二つ以上用意して定期的に天日干しなどして衛生管 理をする。
夏場など、湿度が高い季節は上部に水を入れる必要なし。(ケースバイケースで判断 する)

5床材はキッチンペーパーが無難

レイアウトにこだわったりして床材に「砂」を使用している場合、誤って食べすぎて、胃や腸に詰まってしまう病気、腸閉塞になること がある。案外多くて、実際、「え!って思われるかもしれませんげ」ヒョウモントカゲモドキの腸閉塞の手術をしたことがなん度もあ る。
特に起こりやすいパターンとして、
1生き餌を追いかけて食べるときに一緒に食べてしまうパターン、 2排泄物の匂いがある床材では、空腹時に意図的に食べてしまうパターン 3人工飼料の場合は、大きすぎた場合落として食べ直すことがあり、その際に砂の床材がまぶされた状態の餌を食べてしまうパターン 4カルシウムなどのミネラル不足状態だと、意図的に砂の床材を食べすぎてしまうパターン 特に消化管内に寄生虫がいっぱいいるときや、水分不足に陥っているときは詰まりやすい。
飼育に慣れてきたら、レイアウトに凝るのいいけど、初めてトカゲをおむかえしました、という方はシンプルなレイアウトをお勧めしま す。キッチンペーパーは汚れたら交換。スーパでもかえて、安価で経済的。

6カルシウムを添加する

カルシウム不足だとどうなる?どんな病気?なくなっちゃう?
ご飯はコオロギなどの昆虫を与えている場合は、カルシウムをまぶしたり、カ ルシウムの粉をいつでも食べることができるように小皿などに入れて設置して おく
ビタミンDが添加されているかどうかも確認。成長期や産卵の時期には一緒に 添加されているものの方がいいかも
ゲル状の人工飼料も販売しているのでその場合は不要(成分表確認してね)

7 紫外線も浴びれるようにしたほうが無難

爬虫類はカルシウムの代謝が回らないと病気になってしまう。そこで必要と なってくるのがカルシウムと紫外線。
夜行性のトカゲは紫外線が不要と言われている
でも、ヒョウモントカゲモドキでもカルシウム不足で起こる病気で来院され るケースがある。
夜行性のトカゲでも、木漏れ日的な日光浴をしている可能性がある。そうい
う報告もある。

8ヒョウモントカゲモドキを診察可能な動物病院を見つけておく

獣医大学ではヒョウモントカゲモドキの病気の勉強は微塵もしない!
私は未経験から始まりましたが、毎日毎日診察して、たくさんの医学書を読み、経験を積んで今に至 ります。今では年間500匹ほどトカゲさんを診察するほどになりました。
ヒョウモントカゲモドキではないですが、○○トカゲを飼っていました。その経験もあり生体状況は わかります
多くの動物病院は犬と猫のみのところが多いです。そう言った動物病院に受診することは、人間で言 う整形外科の先生のところで「皮膚にぶつぶつがあって見てほしい」と言って受診するようなもの。 見れなくはないかもしれないけど、検査や治療に必要な道具も経験も不足しています。
爬虫類を見てくれる動物病院は特に少ないので、飼うのであれば診察してくれる動物病院を見つけて おいてください。

まとめ

1 温度管理が必要:
大体25-28度ぐらい

2 湿度管理も必要:
大体50%ぐらい

3 パネルヒーターによる火傷に注意:
エアコンや温室などを 用意してケージの空間全体を温めるほうが無難

4 隠れる場所
シェルターを設置してね

5 床材はキッチンペーパ:
異物の誤嚥トラブル防止

6 カルシウムを添加する:
生きるのに必要

7 紫外線を浴びることができるようにする:
夜行性でも必要

8 ヒョウモントカゲモドキを診察可能な動物病院を見つけて おくこと
健康診断にも定期的に行ってね

補足

どうだったでしょうか?哺乳類とは異なり、色々と気をつけないといけないところが多かったのではな
いでしょうか?
犬や猫みたいに、僕らがある程度快適に過ごせる空間を共有するだけでは生活していけないペットなの で、この動物が暮らしていた自然界を再現する必要があります。
夜行性のトカゲは紫外線が不要と書かれている飼育書やサイトが多いとは思いますし、この辺りは現状 では分かれるところなのかもしれませんが、普段から診察している立場からすると、夜行性のトカゲに も関わらず、カルシウムをフードに加えているにもかかわらずカルシウム不足で病気になるヒョウモント カゲモドキさんもいるので、無難に紫外線を浴びれる状態にしたほうがいいと思っています。
これまでにもあったかもしれませんが、砂の床材のようにペットショップにあるものが必ずしも安全で はないということです。それを与えていいのか、情報は更新されていきますので、常に新しい情報を得る 努力を皆さんもしていただければと思います。

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