セキセイインコで多い病気7選

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

今日は、鳥の種類ごとに多い病気シリーズ、セキセイインコで多い病気7選ということでお話ししていきたいと思います。 私は年間の大体5000件ほどのインコやオウムさんを診療しています。
以前に、文鳥さんでお話ししました。 今回の病気もみなさんが知っているだけで、予防できるものがあります。早期発見して治療できるものもあるかもしれません。
セキセイインコさんを飼育されているかた、これからセキセイインコさんを飼いたいと思っている方は是非とも最後までご覧く ださい。

1。マクロラブダス症

【一言で言うと】
マクロラブダスというカビが胃に感染して起こる病気。
【原因】 マクロラブダスに感染しているお母さんからの挿餌、感染している鳥から排泄される糞便の摂取
【症状】
症状なしの場合もある。慢性化すると吐いたり、未消化便でて痩せてくる。
【診断】
便検査。
【治療】
抗真菌剤の内服。または注射。

2。卵づまり

鳥さんは交尾をしていなくても卵を産みます。
【一言で言うと】 卵が詰まってしまう、人間で言う難産。そのまま放置すると亡くなっちゃうかも
【症状】
いきむけど何も出ない、ぐったりうずくまる。お腹がぽんぽん。
【原因】 卵を産みすぎて、カルシウム不足、寒い、卵の形が異常など。
【診断】
レントゲン、エコー検査、触診
【治療】 カルシウム剤の投与、圧迫して卵を出す、帝王切開

3。精巣腫瘍

【一言で言うと】
精巣の腫瘍。たいていはセルトリ細胞腫という女性ホルモンを出す腫瘍。
【原因】
発情の繰り返し?
【症状】
初期はろう膜(鼻)が茶褐色に変色してくる(ノーマルの正常は青、ハルクインとかルチノウはピンク色)元気や食欲は正常。進行するに 伴い、脚の麻痺、お腹が膨れてくる、元気食欲低下、呼吸困難など
【診断】 メス化の症状、レントゲン検査、CT検査。
【治療】 ホルモン剤の投与、場合によっては手術。

4。カイセン症

カイセンというダニの感染で起こる皮膚疾患
【原因】 カイセンの感染?最初から持っている可能性があって、環境の変化などによるストレスでの免疫低下などで発症?
【症状】
目の周り、あし、嘴や口の周りなど羽が生えていない場所で、軽石みたいにカサカサした病変を作る。
【診断】
症状から、皮膚を少し削って顕微鏡で確認
【治療】
駆虫剤を定期的に塗る。

5。卵巣・卵管の腫瘍

【一言で言うと】
卵巣や卵管に腫瘍ができてしまう
【原因】
発情・産卵の繰り返し
【症状】 お腹がぽんぽんになる。腹水が溜まったりすると呼吸困難など。やがて亡くなってしまう。
【診断】
触診、エコー検査、レントゲン、CT検査
【治療】
手術、発情抑制剤の内服。

6。腹壁ヘルニア

【一言で言うと】
お腹の筋肉が破れて内臓が出てきてしまう。皮膚は破らないので、お腹がぽこんとなる。雌で多い。
【原因】
発情、産卵の繰り返し
【症状】 お腹がぽんぽんになる。お腹が黄色く変色する(腹部黄色腫)、腸管が出ると排便困難、卵管が出ると卵づまりになることも
【診断】
見た目、触診、レントゲン検査、CT検査
【治療】
手術。発情抑制など。

7。甲状腺腫

【一言で言うと】
喉にある甲状腺という臓器が腫れて起こる病気。呼吸がしずらい
【原因】
ヨードを含まない食事、マメ科、アブラナ科の植物の与えすぎ
【症状】
呼吸の度にぎゅーぎゅー鳴く(意図せず声が出る感じ)。夜間にひどくなる傾向が。甲状から出血して喀血して突然死することもあるので 注意。放鳥せず安静で過ごしてね。
【診断】 特徴的な症状と飼育環境の聴取、レントゲン、CT検査
【治療】 甲状腺ホルモンの内服、ヨードを含む食事への切り替え

今日お話ししたセキセイインコで多い病気7選をまとめます

1。マクロラブダス症:
胃に感染するかび。進行すると吐いたり、未消化便出るよ。症状が出る前に治療する のがポイント!

2。卵づまり:
人間でいう難産。発情の繰り返しでカルシウムが不足したりしてなってしまう。なってしまっ たら早めに受診して治療

3。精巣腫瘍:
雄で見られる精巣の腫瘍。発情をくり返した結果なる。治療はホルモン剤の内服や注射。リス ク高いけど手術も選択肢。発情のコントロールで予防が第一。

4。カイセン症:
カイセンというダニの感染で起こる皮膚疾患。でも免疫の低下で起こることも。治療は駆虫 剤の塗布。

5。卵巣・卵管の腫瘍:
読んで字のごとく。メスで見られる一番多い腫瘍。繰り返しの発情が原因。治療は手 術か発情抑制剤の内服。

6。腹壁ヘルニア:
お腹の筋肉が破れて内臓が出てきてしまう。皮膚は破らないので、お腹がぽこんとなる。 雌で多い。これも発情の繰り返しが原因。手術かも。

7。甲状腺腫:
ヨードという栄養素が不足してなる病気、呼吸するたびにキューキューなる。治療は甲状腺ホ ルモンの内服とヨードの摂取。

補足

今回は遭遇する機会の多い病気に関してお伝えしました。
他にもいろいろな病気があります。圧倒的に多いのは、最初にお伝えした、マクロラブダス症。早期発見早期治療が第 一。最初は症状が出ないのが逆に危険!症状が出てからだと治療をしても後遺症が残ることも。最初にお迎えして自宅で の生活に落ち着いたら早めに健康診断行ってくださいね。定期検診もお勧めします。
後は、前回の文鳥さんと比較すると生殖器関連の病気が多い。オスもメスも。発情のコントロールが難しいですが、課題 として大きい。以前にお伝えした、発情抑制についての動画をご参考ください。
また、何度もお伝えしていますが、鳥は症状を隠す動物です。弱みを見せたら食べられちゃうため、なるべく強がる。そ れゆえに、僕らでは早期発見するのが難しい。その中でも嘘のつかない健康のバロメーターは体重です。是非とも日常的 に体重測定をしてあげてください。
ペットショップに販売されているインコやオウムさんは、獣医さんによるこういった健康診断を受けていないケースがほ とんどです。いろんな病気を持っているにもかかわらず見た目の元気さがゆえに、そのまま販売されています。なので、 繰り返しになりますが、お迎えしたら早めに、健康診断を受けに行ってあげてくださいね。
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