ウサギの毛球症

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約1500羽ほどのウサギさんを診療しています。
今回は、ウサギさんを飼っていると目に入る「毛球症」という病気についてお伝えし たいと思います。
今日のお話を知っておくだけで、毛球症の実際について少し理解が深まるとは思いま
す。
ネットでまことしやかに囁かれている、無駄に恐怖を煽る内容に戦々恐々とされてい
る方、現在、治療中の方は、是非とも最後までご覧ください。

毛球症とは

毛繕いで食べた毛が、胃のなかで絡まって詰まってしまう病気。 【どうやってになるの?】
換毛期に、自分で毛繕いした毛は本来なら食べ物と一緒に腸管の方へ移動してそのまま糞便として排 泄される。
しかしながら、何らかの理由でその食べた毛が正常に流れていかず、胃のなかで絡まって胃の出口以 上に大きく成長してしまった毛球がそこで詰まってしまうことで発症する。
ウサギは、胃の構造的に、嘔吐することができないので、絡まってある一定の大きさになっても、口から出すことができない。
(猫は嘔吐することで毛玉を排出することができる)
飼い主さんが換毛期にはブラッシングしてあげないとなってしまう?飼い主さんの管理不足が原因?

主な症状

元気や食欲がなくなる
気持ち悪そう(胃腸障害)
糞便が小さくなる、糞便が出なくなる

毛球症の実際、毛球症はまず起こらない!!

そもそも、自然界のウサギは誰も換毛期に毛繕いはしてくれない! でも、毛球症でお亡くなりになるウサギの報告はない。
つまり、毛球が胃に詰まってトラブルが起こることは、一般的に起こるもの
とは考えにくい。
昔の教科書には載っているけど、最近のウサギの病気に教科書にはほぼ記載
がなかったりする

どうして、毛球症が有名になったのか?

ご飯を食べない、便も出ないウサギに対して、「何か詰まっているのか?」と 思った獣医さんが、胃を開けてみたところ、毛がそれなりにあった。
ゆえに、これが原因でご飯を食べていない?
これが「毛球症」と言う誤った診断の始まり。
ウサギに限らず、毛がある動物の胃の中を見てみると、それなりに毛があるの が普通。つまりそれは異常ではなく、原因ではなかった。
勝手に病気を作らないでw

まとめ

毛球症は換毛期に毛繕いした毛が胃のなかで絡まって毛玉となり、詰まって
しまう病気
でも、実際はほとんど起こらない! かつて病気の原因が分からず、作ってしまった病名が1人歩きしてしまった 適度にブラッシング

補足

毛球症は実は、ほとんど起こらない病気。
しかしながら、今でも普通に起こると飼い主さんの間では信じられている。
特にその予防効果があると、信じられているものとしてパインの酵素入りのおやつなど。「毛球症予防」 みたいに書いてあるものも。
しかしながら、実際にはそのパインに含まれる毛を分解してくれることが期待されている酵素「パパイ ン」はpH1とかのウサギの胃酸の中では不活化して機能していないと思われる。
そもそもが、毛球症にもならないので、不必要にこのような糖分の多いおやつを与えすぎてはいけない。
販売されているものが、必ずしも安全とは限らないし、不確かな効果を謳って、販売を誘導しているもの もあるので注意が必要である。

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