インコオウムので多い中毒5選

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間の大体5000件ほどのインコやオウムさんを診療しています。。
以前に、インコやオウムの中毒についてご質問が多かったのと、こういったことに関してその起こ りやすい中毒の実際、みたいなものを聞きたいとのリクエストがありましたのでお伝えして行きた いと思います。
みなさんが知っているだけで、予防できるものがあります。早期発見して治療できるものもあるか もしれません。
今回は、食べてしまうことで起こる中毒と、吸引することで起こる中毒、合わせてお伝えします。

1。テフロンガス中毒

【一言で言うと】
テフロン加工されたフライパンやアイロンなど加熱すると発生するガスを吸入することで急死する
【原因】
• 200°C以上に加熱されたテフロンから発生するポリテトラフルオロエチレンガスの吸引
【症状】
開口呼吸、ゼーゼーなどの苦しそうな呼吸。
ぐったりする
数分で呼吸困難、数十分で突然死
【診断】
飼い主さんからの聴取と症状
【治療】
厳しいことが多い。軽症では酸素化とステロイド療法
その他:空炒りがやばい。予防しかないかも。換気をしっかりして、調理中やアイロン中では鳥を近くに置かない。

2、鉛中毒

皆さんも鳥が鉛を食べると中毒を起こすことをご存知ですし、鳥が示すその症状もわかりやすい
【一言で言うと】
鉛を食べてしまって起こる中毒。食べた量や経過時間によっては亡くなっちゃうリスクも高い
【症状】
ぐったり、うずくまる、
多飲多尿、濃い緑色の尿酸と便、時に赤い尿酸
翼が垂れ下がる、痙攣、便が出ない
【原因】
カーテンウエイト、はんだ、釣りの錘、ステンドグラスなどで使用されている鉛をかじる
【診断】
レントゲン、症状、血液検査
【治療】
解毒剤の注射や内服、点滴、

3。有機溶剤中毒

【一言で言うと】
多いのはリフォームなどで使用される塗料の有機溶剤が気化したものを吸引することで起こる中毒
【原因】
有機溶剤であるトルエンやシンナーなどを吸引
【症状】
呼吸困難、ふらつきなど
【診断】
飼い主さんからの聴取、症状
【治療】
酸素化ぐらい

4、観葉植物

【一言で言うと】
観葉植物を齧って起こる中毒。
【原因】 サトイモ科の観葉植物、多いのはポトスを誤って食べてしまう。シュウ酸カルシウムが刺激になる 【症状】
口腔内疼痛、あくび、元気食欲低下、唾液多い
【診断】
飼い主さんからの聴取と症状
【治療】
口の中の洗浄、ステロイド、抗ヒスタミン薬

5、カボカド

一言で言うと】
アボカドを食べて起こる中毒
【原因】
アボカドに含まれるペルシンを食べる
【症状】 アボカド摂取後9-15時間、少なくとも24時間以内には発症。短時間で急死する。 少量なら食欲不振、羽を膨らませる、重度では呼吸困難で亡くなってしまう。 【診断】
飼い主さんからの聴取、症状やレントゲン検査
【治療】
利尿剤や強心剤の内服、酸素吸入、そのう洗浄、活性炭

今日お話ししたインコオウムで多い中毒5選をまとめます

1、テフロンガス中毒
テフロン加工された調理器具やアイロンなどを加熱した時に発生するガスを吸引して起こる。数分で呼吸 困難、数十分で急死する怖い中毒。治療はステロイド療法だが、治療する時間もなく亡くなってしまうこ とが多い
2、鉛中毒
カーテンウエイトなど鉛をかじることで起こる中毒。食べる量や経過時間によっては無くなってしまう危 険性が高い。症状は濃い緑色便や尿酸、元気食欲なし、治療は解毒剤の注射
3、有機溶剤中毒
塗料などに含まれるシンナーなどを吸引して起こる中毒。症状ふらつきや呼吸困難、治療法はないので予 防が大切。
4、観葉植物
多いのはポトスなどのサトイモ科の観葉植物を食べてしまう。口の中の痛み、違和感、よだれなど。抗 炎症剤を使用して対症療法。
5、アボカド
アボカドを食べて起こる中毒。呼吸困難、元気食欲低下、大量摂取で急死することも。治療は利尿剤や 強心剤の内服、そのう洗浄など

補足

今回は遭遇する機会の多い中毒に関してお伝えしました。 他にもいろいろな中毒があります。チョコレートとか皆さんご存知のものでは中毒で来院されたケースは今の所ありません。
季節がら注意して欲しいのは、蚊取り線香の煙や殺虫剤の吸引による中毒でしょうか。やはり呼吸困難を起こすリスクがあるので、インコやオウムさん の近くにい所では使用しない方が無難だと思います。
あとは、時代的に次亜塩素酸ナトリウムでの消毒をされる方もいらっしゃると思いますが、高濃度で吸引すると肺や気管の粘膜が障害されるので、これ
もインコやオウムが近くにいる所では使用しないこと、また、使用後はしっかり換気することでしょうか。
それから、飼い主さんの使用されているお薬を飲んでしまったケースもありました。過剰投与になるので、危険です。
また、来院されない限りは、「中毒」の診断ができません。実際に中毒で急死してしまった場合にも、来院されるケースは少ないので、テフロンガス中 毒やアスファルトのガス中毒など急死してしまうケースでは、潜在的にはもっと中毒の件数は多いのかなと思っています。
最後に、知っておいて欲しいのは、食べてしまっても、そのうの中にある状態であれば、吐かせる処置ができる可能性があります。食べてはいけないも のを食べている現場を運よく目撃した場合、現行犯逮捕してあげてください。できるだけ早く連れてきていただければできることがあるかもしれませ ん。
言わずもがなだとは思いますが、予防が第一です。最近は、食べてはいけないものを知らない方は少ないですよね。注意していても、うっかり、知らな いうちに食べていたりの「事故」に近いものではないかと思います。

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