まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。
私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。
その中でいろいろな質問にお答えしていますが、間違った知識や理解が広がってしまっていることが多々あります。
今回は、その中でも最も多いものの一つ、「下痢と多尿」というのがあります。
今日の話を聞いたら、下痢と多尿の違いをわかるようになってもらいたいと思っています。」
インこやオウムは確かに下痢をする動物なのですが、実際はほとんど起こらず、間違った知識で病気かと勘違いした り、心配になって連れてこられるケースが多いです。
また間違った診断で間違った処方をされ、関係のないお薬を飲んで、一向に治らないなんてこともあります。 しかも少なくないです。ぜひ、インコやオウムの排泄物について知ってもらいたいと思います。
まず知っていて欲しい鳥さんの常識 人間の排泄の違い
鳥のお尻の穴は一つしかない!つまり出口が一つ!
したがって、おしっこもうんちも一緒になって出てくる。(総排泄腔というところにおしっことうんちをためておく)
それに対して、人間はうんちとおしっこの出口が分かれていて、それぞれをためておく部屋(膀胱と直腸)がある。
鳥と人間の排泄の違い
人間は、うんちがゆるいと下痢ってすぐにわかる。
でも、鳥は総排泄腔というところにうんちもおしっこも一緒になっているの で、おしっこ、つまり水の中にうんちが浮かんでいる状態でしばらくキープさ れ、ある程度排泄物が溜まってくるとポイってお尻から出す
鳥は生理的におしっこが多くなる時があって、そうすると、見た目には水分
の多い排泄物をするため、下痢と勘違いしてしまう。
多尿(おしっこが多いの)を下痢と間違って来院!
おしっこと下痢をちゃんと区別する必要性
おしっこが多いのであれば、尿検査。(腎臓の病気とか、糖尿病とか)
下痢をしているのであれば、便検査。(消化管の病気)
問題が起こっている場所の検査をしないと原因がわからない!
したがって、今している排泄物が下痢なのか、多尿なのかを確実に区別する必要がある!
インコやオウムは正常でも多尿になる時期がある
インコやオウムは人間みたいに健康を意識して意図的に水を多く飲むことはしない なので、好き好んで水を飲み過ぎて多尿になることはない。
しかしながら、必要性があって水を多くのむ時がある。その結果多尿になる
発情期、換羽期、産卵期、塩土など塩辛いもの多く食べた時、暑い時など。
お野菜や果物を多く食べさせている時も多尿になることもあるよ。
ヒナでパウダーフードを与えている時も多尿になるよ。便も緩くなる。
ローリーやロリキートと呼ばれる果物を食べている鳥さんは正常でも尿は多いよ。
それに対して異常な多尿もある
肝臓悪い
腎臓悪い
糖尿病
ストレスが多い時
鉛中毒 など
下痢はほとんどおこらない
ここまで言っておいて何ですが、下痢はほとんど起きません。
ほとんどは多尿です。
見分けがつかなくても、大丈夫、気軽に病院ご相談ください。 ただ多尿には先ほど言ったように病気ではない時があります。 今回は、全部が全部下痢じゃないとわかるだけでいいかと思います。 でも心配ならやはり病院へ。
それでは今日のお話をまとめます!
鳥のお尻の穴は一つでうんちもおしっこも一緒になって出てくる
下痢だと思っている排泄物のほとんどがおしっこが多いだけ
インコやオウムには病気じゃないのに多尿になることがある
でも全ての多尿が正常というわけではなく、病気のサインのこともある。
補足
前の動画でもお話ししたかもしれませんが、その動物の正常を知らないと異常かどうかなんてわかるはずがありません。
過去に実際にあった話として、下痢だと思って動物病院へ行ったら抗生剤と整腸剤を処方されました、でも1ヶ月間ずっ と下痢が治らなくて・・・ということで来院されたセキセイインコさんをみると、多尿で、換羽だった。つまり正常だっ た。ということもありました。
犬や猫しか診療しない動物病院では、そういったことを大学で学ぶことがないので、飼い主さんが「セキセイインコが下 痢している」といって来院したら、その先生も下痢だと思うし、今回のことを知らなくても仕方がないと思います。
なので、動物病院に行こうとなった時、普段からインコやオウムを診療されている動物病院なのか、よく確認して来院さ れることをお勧めします。
また、多尿と下痢の違いをお伝えしましたが、飼い主さんはその違いをそこまで分かっていなくても大丈夫なのかなと思 います。下手に異常な多尿や下痢を、正常だと見誤って様子を見てしまうより、よくわからないけど、下痢かな?でご来 院いただいて、獣医師の先生に見てもらって判断の方がいい。気軽に動物病院へ行ってみてくださいね。
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