インコとオウムのPDD

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。 今回は、皆さんから頂いたリクエストの中から、インコとオウムさんのPDDについてお話ししたいと思います。
現在、治療中の方は、是非とも最後までご覧ください。

PDDとは?その症状について

PDDを日本語の病名にすると「オウムの腺胃拡張症」
長年、原因不明であったが、2008年にトリボルナウイルス感染によって引き 起こされることが判明!
主な症状は元気や食欲がなくなる、嘔吐、下痢、未消化便、それに伴い体重
の減少。(これっていろんな病気で見られる)突然死することもある。
他にも、ふらつき、行動の異常、失明、頭部の揺れ、てんかんなど

PDDについての情報

【なりやすい鳥】
コンゴウインコ、ヨウム、バタン、メキシコインコなど。全てのオウムで感染する。 オカメインコでもちょこちょこ。若齢の個体は感染しやすく、症状が重篤化しやす い。
【どうやってPDDなるの?】
このウイルスを持っている感染鳥との接触でなる。感染した鳥は、糞便、そのう液、 卵に排泄されます。
【潜伏期間】 20日から数年とばらつきがある。発症年齢は平均3-4歳。

その他の型の症状

毛引や自咬症との関連も言われている。
けど、これらは何らかのストレスを背景に発症することの方が多い

気になる治療は?

抗ウイルス薬が効いてくれるかもだが、副作用もあり現状では積極的な使用は していない
インターフェロンという免疫力を上げてくれるお薬は副作用がなく効果がある かも
神経の痛みに対しては、痛み止め。炎症を抑えるお薬も使用したりする。て
んかん発作がある場合は、抗てんかん薬。
対症療法

どんな検査をして診断するの?

糞便に含まれるボルナウイルスの遺伝子検査。(ウイルスは出たり出なかった りなので、1週間程度まとめたもの)
レントゲンで腺胃の拡張を確認(他の病気でもなることはある)。
そのほかの症状と合わせて総合的に判断

最後に一応、予防と消毒

繁殖業者やペットショップでのPDD検査と、キャリア鳥の繁殖防止、接触を 避けること
ワクチンはない 感染した鳥さんも対症療法で治る場合があるので、諦めずに頑張ること 消毒は次亜塩素酸ナトリウム。消毒用エタノールなど。

まとめ

PDDとはトリボルナウイルスというウイルスの感染で起こる病気
症状は元気食欲の低下、吐いたり、下痢したりで痩せてくる。他にもふらつ き、てんかん発作など。
コンゴウインコ、ヨウム、バタンなどで多い 診断は糞便を材料にPCR検査による遺伝子検査、レントゲン検査
治療は対症療法。治る場合も多いけど、若齢では症状が重篤で厳しい場合も
ある。

補足

今回は、PDDという、昔からありましたが、ここ最近で僕らの業界で注目されているウイルス感染症の一つをお伝えしました。 というのも、ようやく遺伝子検査で診断できる可能性が高くなったからです。
海外では、22.8%というかなり高い保有率が報告されています。海外では大型の鳥を飼育されている方が多いとか、鳥事情が日本とは 異なるので、そのまま鵜呑みにはできませんが、ちょこちょこ発生しているのが現状です。
過去の日本の検査会社での報告では動物病院に来院されたインコ・オウムのボルナウイルス遺伝子検査で約4%が陽性だったそうです。
ボルナウイルスは人間でも報告されていますが、トリボルナウイルスとは異なるので、鳥から人間に感染することはありません。
でも人間でもボルナウイルスは報告されており、精神分裂病患者で抗体が確認されたとのこと。
他にも馬や羊、猫でも報告があり、同じように神経症状が見られます。動物種が異なっても似たような症状が出るのが非常に興味深い ところです。
かつては、PDDはかかってしまったら徐々に消耗していって治らない不治の病の一つと恐れられていました。今でも怖い病気の一つで はありますが、対症療法でがんばれば乗り越えることができる可能性がある病気になってきていますので、もし、この病気の診断を受 けても最後まであきらめず、治療をしていただければと思います。

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