インコとオウムのPBFD

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。
私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。 今回は、皆さんから頂いたリクエストの中から、インコとオウムさんのPBFDについてお話ししたいと思います。現在、治療中の方は、是非とも最後までご覧ください

PBFDとその症状

PBFDは、日本語にすると、「オウム類嘴ー羽病」 完治が難しい病気です。そのため怖い病気の一つかと思います。 比較的遭遇する機会の多い病気の一つ。 サーコウイルスと言うウイルスに感染することで発症する病気 遭遇する機会の多いのは慢性型 病気の名前の如く羽毛障害が見られる セキセイインコでは尾羽や風切り羽など長い羽が落ちる。 ヨウムやバタンなどは短い羽が落ちる。 末期では嘴の障害や免疫不全などで亡くなってしまう

PBFDについての情報

【なりやすい鳥】
セキセイインコ、ヨウム、バタン、ラブバード、など。当院ではオカメインコがインコと オウムの来院数の第二位だけど経験したことない
【どうやってPBFDなるの?】
このウイルスを持っている感染鳥との接触でなる。感染した鳥は、羽毛や糞便、そのう液 との接触で感染する
【潜伏期間】
最短で21-25日、最長は数ヶ月から数年と考えられている。3歳以上は免疫もしっかりし てきてなりにくいとも言われている。実際に遭遇する機会の多いのは確かに若い個体。

その他の型の症状

実際には急性、甚急性という型があり、その場合は突然死、消化器疾患(下 痢とか)羽毛障害などが見られる。これはひなで多く、ペットショップやブ リーダーで問題となっている。一部の動物病院を除いては遭遇する機会は少な い。
他にも、症状が出ていないけど、感染している「キャリア型」がある

気になる治療は?

絶対に治ります的な、科学的根拠のある治療はない!
でも、インターフェロンという免疫力を上げてくれるお薬が最も期待できる治 療薬で、実際に治った症例を多く経験。でも小型の鳥に限る
大型の場合は厳しいのが現状・・・・

どんな検査をして診断するの?

特徴的な羽毛の症状で疑う。
年齢も大切 最終的な診断は血液をサンプルとした遺伝子検査(PCR検査)。 でも絶対じゃないので、何度か調べるか、症状から慎重に診断する

最後に一応、予防と消毒

繁殖業者やペットショップでのPBFD検査と、キャリア鳥の繁殖防止、接触を 避けること
ワクチンはない
感染した鳥さんも治る場合があるので、諦めずに頑張ること
消毒は中性電解水が有効というデータあり。あとはビルコンという消毒液。

まとめ

PBFDとはサーコウイルスというウイルスの感染で起こる病気 みなさんが遭遇する可能性が高いのが、慢性型。 羽毛障害があり、小型種では長い羽が抜ける。大型種では短い羽が抜ける 最終的には嘴の障害や免疫不全で亡くなってしまう。 診断はPCR検査による遺伝子検査
治療はインターフェロンが有効であることもあるが、絶対ではなく、大型種で はなかなか厳しい。

補足

今回は、インコやオウムを飼育されている方なら一度は聞いたことがある方が多いのではないかなと思われるウイルス感染症の 一つをお伝えしました。
海外では、完全に撲滅できている地域もありますが、日本ではちょこちょこ発生しているのが現状です。 過去の報告では検査会社で実施されたPBFDの遺伝子検査で約10%が陽性だったそうです。 最近は、ペットショップによっては最初からこの検査を受けているインコやオウムさんも増えてきました。
やはり、みなさんの意識が高くなり、そういったニーズが高まることが重要で繁殖業者の意識が変わってきます。日本でもこの 検査が普通にされて、この病気がない健康なインコやオウムさんばかりになることを祈っています。ですのでぜひこの病気のこ とを覚えてもらい高い意識をしてもらいたいと思います。
この検査は採血しての血液検査になりますが、採血が怖いと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。でも、熟練し た、鳥を見てくれる獣医師であれば、決して採血のリスクは高いものではないと思います。当院でも、採血で亡くなった、体調 が悪くなった鳥さんは1羽もいません。気になった方は健康診断の項目の一つとして検査してみるのもいいと、僕は思います。

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