インコとオウムの鉛中毒

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています

私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。
今回は、皆さんから頂いたリクエストの中から、インコとオウムさんの鉛中毒についてお 話ししたいと思います。当院では通称「生中」って呼んでますが、ビールではありません。 普段の診察をする中で遭遇する機会も多く、致死性の高いかなり危険な病気の一つです。
今日のお話を知っておくだけで、鉛中毒の実際について少し理解が深まるとは思います。
ネットでまことしやかに囁かれている、無駄に恐怖を煽る内容に戦々恐々とされている方、現在、治療中の方は、是非とも最後までご覧ください。

鉛中毒の現状

とても身近にあるものを口に入れてしまうことで致死的な状態になってしまう可能性が高い病気
比較的遭遇する機会の多い病気の一つ。
【なりやすい鳥】
どのインコ・オウムでもなる。
【どうやって鉛中毒になるの?】 実は人間の日常生活の中ではところどころで「鉛」を使用しており、その「鉛」を知らないうちに食べてしまって発症する。 インコやオウムはひかるものを食べたがる?ビーズとか食べたり、その一環で食べちゃうのかも? 金属の中で、インコやオウムの噛む力でちぎれる柔らかい金属、それが「鉛」なので間違って食べてしまいやすい。 グリットの補給のため?
どこの鉛を食べたのか?原因は不明なことも多いが、過去に経験したことがあるパターンでは、カーテンのしたにおもしとして 設置してある、カーテンウエイト(これが一番多い)、はんだ、釣りのおもり、趣味でされていたステンドグラスの繋ぎに使う 鉛など。

主な症状

以下のあげる特徴的な症状に注意して、すぐに連れてきてあげることが重要です! 急に元気や食欲がなくなる(膨羽)
吐き戻し(胃腸障害)
濃い緑色の排泄物(溶血)
水をよく飲んで尿も多い(腎障害) 翼が下に下がる(正常なら背中でクロスする)(神経障害) ひどいと痙攣、そのままなくなってしまうことも(神経障害) 他にも鉛中毒の症状はありますが、この辺りが皆さんでもわかりやすい症状かなと思います。

気になる治療は?

解毒剤があるのでそれを注射する
点滴
入院
どれぐらい食べたか、どれぐらい時間が経ったかによって助かる可能性がまちまち
当院では5分5分とお伝えしています。 実際にどのぐらい

どんな検査をして診断するの?

レントゲン撮影で胃のなかやそのうの中に金属の破片があるかどうか(図)
特徴的な症状あるかどうか
飼い主さんから放鳥しているかどうか、そう言った金属を食べたお話がある
かどうか
血液検査で鉛の濃度を測る方法があるが、人間の検査センターへ出すこと採
血量が多いので現実的ではない

まとめ

鉛中毒の原因は、日常生活で使用されている鉛を誤って食べてしまうことで
起こる。特にカーテンウエイトなど
症状としては、こい緑色の排泄物、急に元気食欲なくなる、吐き戻し、お水
をよく飲むなど
診断はレントゲン検査と特徴的な症状
治療は解毒剤、入院による対症療法。でも厳しい場合も・・・
予防が第一

補足

この鉛中毒という病気は、他の動物種ではほとんどゼロと言っていいほど、遭遇する機
会はない、インコとオウムで特徴的な病気かもしれない。
鳥を見る獣医師なら、この鉛中毒に対する治療薬を常備できているかどうかが、シビア に生死をわける、そう言っても過言ではない病気です。犬や猫しか診療しない動物病院 ではまず、置いてないお薬だと思います。
しかしながら、インコとオウムハ感受性が強いのか、症状が重篤なことも多く、来院時 にはすでに厳しいこともあり、適切な治療にもかかわらずなくなってしまうケースも。
予防が第一で、リスクと思われるものを周囲に置かないのが一番。

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