インコとオウムの肥満について

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。 今日は皆さんからのコメントにもありました「インコとオウムの肥満」についてお話ししたいと思います。 肥満が原因で起こる病気、色々あると思います。食べすぎて発情を繰り返してしまうのもあります。
インコさん、オウムさんがどうして肥満になってしまうのか?についても説明しつつ、肥満予防についてもお 伝えできたらなと思っています。
今日のお話を知っておくだけで、インコとオウムの肥満の問題点について少し理解が深まるとは思います。 動物病院で「肥満です」と言われたことのある方は是非とも最後までご覧ください。

肥満とは

内臓や皮膚の下に脂肪が蓄積している状態
太りすぎて、羽ばたきながら落ちていく鳥さんがいます。僕ら的には可愛いで すけど、自然界ではありえないことではないかと思います

肥満にやりやすい鳥と原因

【なりやすい鳥】
どのインコ・オウムでもなる!
【原因】
食べ過ぎ(ご飯やおやつの与えすぎ)
運動不足
ご存知の通り、消費されるカロリーに対して、供給されるエネルギーが多いというアンバランな状態が継続することで肥満になる。

肥満の何が悪いの?丸くてかわいいよ!

その状態が続くと病気になってしまう!
1。脂肪肝→いずれは肝不全
2。動脈硬化
3。糖尿病
4。肥満が原因でなるわけではないけど、飽食状態は発情を誘発する→発情を 繰り返した結果、生殖器疾患(卵つまり、卵巣や卵管の腫瘍など)を発症す るリスクが高くなる

なんで食べすぎちゃうの?

かつては鳥はご飯を切らすとすぐに亡くなってしまうと信じられていた→ご飯 を切らさないように1日では食べきれない量のご飯をケージ内に用意しておくのが安全な飼育方法と信じられてきた
かつては、食べられちゃう側の動物は自分で体重をコントロールして肥満に なることはない説、があった。太ってしまうと、動きが鈍くなり食べられち ゃうから。
でも、実際はいつでも好きなだけ食べることができる状態にしておくと、太ってしまう鳥さんばかり!!
結局のところ、食べることに依存してしまっている。
食べること以外にケージで楽しみがない。(単独飼育の場合はコミュニケー
ションを取る対象がいない。見慣れたおもちゃ。)
僕らも、いつもの見慣れた自宅のリビングで何もすることなく、目の前にポテチやチョコレートなどお菓子が置かれていたら、お腹がいっぱいでもつい手を伸ばしてしまう感覚。

なんで上手くいかないの?!

具体的なダイエットの方法は後ほどお伝えしますが、しかしながら、ダイエットの失敗は方法に問題があるから ではない。方法はすごく単純で、食べる量を限定して、適度に運動していく。それが適切かどうか体重測定など で評価していくだけ。
ダイエットが上手くいかない理由は大変お伝えしづらいことではありますが、飼い主さんにあるかも。
原因1
普段から人が食べるご飯を与えていたりするケース→ダイエットを開始したものの、いつものようにご飯をもら いにやってくる。→何かもらえることを期待している鳥さんに対して何もしてあげられないのが心苦しい→つい つい与えてしまう・・・この場合は飼い主さんもリバウンドしないように徐々に与える量を減らしていく
原因2
犬の報告では飼い犬が肥満の場合、飼い主も肥満である割合は35%。なぜ、飼い主が肥満だとペットも肥満に なるのか?肥満に対する危険意識が低く、ご飯やおやつを規定量以上に与えてしまいやすい。獣医師の立場でお 伝えさせていただきますと、肥満というのはいろいろな病気を起こすリスクが高い状態になってしまいます。

肥満になったらどうしよう ダイエット方法は?

1、体重を測る(最低でも1g単位、測り方を実演)
2。1日に食べているご飯の量をgで計測する。できれば3日ほど測って平均を取る(食べこ ぼしもなるべく測る)
3。2で食べている量の10%カットのご飯の量を一日量にして、朝夕ぐらいで分割して与え る。(絶食はダメ!、リバウンドしないように徐々に減らしていく)
4。食べているご飯の量で維持される体重になるまで、しばらく継続。(下げ止まるまで)
5。目標体重に到達するまで、1-4を繰り返す。
6。目標体重に到達しても、そのご飯の量を維持する。(温度や運動量によって調整)

ダイエットの注意点

ラブゲロ注意(単独飼育じゃないとダイエットは難しい) 高脂肪食はやめて、低脂肪しょくへ 換羽と卵産んでいる時はダイエットしない 病気治療中の場合は先生と相談 お腹空きすぎて、変なもの食べるかも

補足

それでもダイエットがうまくいかないのであれば、病気の可能性や発情が背景にあるかも。 代謝が低下する病気としては甲状腺機能低下症とか
太って動くのがしんどいパターン→ご飯を食べるのが好きなので、ご飯をご褒美にトレーニングとか も。
もう一つ、皆さんに考えて欲しいのは、最初にもお伝えした、「なんで食べすぎちゃうの?」ってと ころなのですが、食べること以上に生物としてすることがないから食べることに依存してしまってい るという環境。鳥は群れで生活する動物で、お互いにコミュニケーションをとっている。起きている 時間で一番使う時間は採食行動。自然界のボウシインコではご飯を探し求めて食べる時間に4-6時間 使う。その次に長いのはグルーミングの時間。
こういった背景を知って、飼育環境を改善する方法として環境エンリッチメントというものやフォレ イジング、フォージングとも言いますが、そういうものがあるので、ご興味がある方はコメント欄の URLをご参考ください。