インコとオウムの卵づまり

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

その前に、今回の動画は卵づまりは非常に多い病気なので、それを予防する早期発見して大事に至らないようにお願いす ることを目的として作成しておりますが、難産や卵を犠牲にして母体を助けるような表現を多用していますので、その辺 りに関して気分を害される方もいらっしゃるかもしれません。心配だなーと思われる方はここから見ないでください。
私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。 今日は、インコとオウムの卵づまりについてお話したいと思います。
「卵づまり」は人間でいう「難産」になります。ご存知のように、母子共に危険な状態!このまま放置してしまうと両方 なくなってしまう可能性が高い一刻を争うレベルで危険な状態を意味します。
インコやオウムさんの中でも、女の子をお迎えされているのであれば、是非とも最後までご覧ください。

うちの鳥は女の子だけど男の子はいないから大丈夫!

実際に、女の子しかいない。男の子いないと交尾しないから卵が生まれるこ
とはない、と思っていらっしゃる方がおおい
鳥類はメス単独で卵を産むことができる。雄の存在は必須ではない!
でも、生まれた卵は無精卵なので孵化することはない。
なので、女の子だけでも、卵を産む可能性があるので卵づまりになるリスク
はある
(産まれた卵はどうする?捨てる?

卵づまりの症状

お腹がぽんぽんで、何度もいきんでいるけど、卵がでない 下にうずくまって目をつむってしんどそう お尻から赤い膜に包まれた卵がくっついている

卵づまりの原因

卵が詰まる原因は卵の材料である「カルシウム」が足りない時に起こるから
カルシウムが不足すると、卵管の収縮が起こらない、または不十分になります。 つまり、卵ができても「いきむ」ことができないので頑張れない!
カルシウムの不足は何度も産卵することで消費してしまうこと、普段からの食事 にカルシウムが添加されていない場合、日光浴やビタミン不足でカルシウムの吸 収不良に陥っている場合が挙げられます
他にも、初産で難産になりやすかったり、巨大な卵など異常な卵であったり、神 経や筋肉や骨(骨盤)の異常、感染症やストレスなどで卵づまりを起こします。

卵づまりの早期発見のポイント

毎日体重を測ること!:卵を持ったら1日でこれまでのベースとなる体重の 3%程度が急に増える。
発情のサインをチェック!:発情すると巨大便をしたり、シャチホコポーズ、 多尿、抱卵行動などが見られるかどうか→これらが見られたら卵を産むかも しれないと思ってね
お腹を定期的に触って膨らんでいないか、硬いものがさわれないか確認
これらの症状が見られて、卵が生まれなければ動物病院へ!

卵づまりの治療

低カルシウムになっている場合、カルシウムを注射等で補充すること
それだけでは、産まれないことがほとんどなので、大抵は助産師さんみたい
にお腹を押したり、お尻から顔を出した卵をひっぱったり。
それでもでない場合は、卵の中身を吸引し、殻を割って体積を小さくして取り 出したりします。
それすらできない場所に卵が詰まっている場合は、手術(いわゆる帝王切開 的な)になります。再発防止のために一緒に卵管を摘出することが多い。

卵づまりの予防

原因でお伝えした通り、卵の材料はカルシウムで、そのカルシウムが足りなくなって卵が 詰まってしまうのでカルシウムを補充して不足しないようにするのが大切。
具体的にはボレー粉やカットルボーンなどカルシウムを食べること。 カルシウムは単独では吸収率が悪いので、一緒に日光浴をすること
日光浴をすることで体内に活性化ビタミンDというものができる。それがカルシウムの吸収 を促進してくれる。
窓越しの日光浴ではカルシウムの吸収に有効な紫外線がカットされる。 なので、直射日光を浴びるか、専用のUVBという波長がでる紫外線ライトを用意する。

それでは卵づまりについてをまとめます

原因:カルシウム不足など(原因を知っていて皆さんが予防できることとした らこれぐらい)
症状:うずくまる、お尻から赤いものが出ている
治療:カルシウム注射、圧迫して卵出す、帝王切開 予防:カルシウムをとる、日光浴する、ビタミン剤など栄養

補足

皆さんどうでしたでしょうか? 卵はこれまで自分が蓄えてきた体の一部を材料に、卵を作っていることがお分かり頂いたと思います。
卵のづまりの予防として自宅でできるこのは先ほどお伝えした通りですが、そもそも発情をさせない飼育環境にすることができれば、卵を産むことすら なくなります。したがって、卵づまりの予防として一番大切なのは発情予防ということになります。
これはわかりやすくするための考え方ではありますが、生命維持に必要なエネルギー以上に過剰なご飯が環境中にあるため、その余剰分を卵に変えよ
うとしているという感じ。
自分が生きていくのに必要な分のご飯しか今の環境中にはないよ!ってことにしておけば発情はしにくい。なぜなら、卵の材料も足りないし、卵を産ん でも子供を育てるだけのご飯がない!自分が生きるだけで精一杯なら、卵を産んでも無駄に終わってしまう可能性が高い。自分を犠牲にして子供を育て よう、そういうことはしません。母親が亡くなったら子供達も一緒に亡くなってしまうからです。
卵づまりは年がら年中起こりますが、北陸では秋から冬に多い傾向にあります。 その理由としては、冬場は晴れの日が少ないせい?→紫外線を浴びることが少ないので、カルシウムの吸収率が悪くなる?それで低カルシウムになる?
冬だからこそ、寒くならないように保温をし過ぎている?→過保護にし過ぎているせいで、発情を起こしやすい条件が整っている。卵を何度も産んで、 材料がなくなって卵づまり

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