インコとオウムの保温

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。
今日は「インコとオウムの保温」についてお話ししたいと思います。
寒い時期になると質問が増えます。みなさん、色々悩まれているのではないかなと思います。
今日のお話を知っておくだけで、インコとオウムの保温の実際について少し理解が深まるとは 思います。
一度でもこういった経験をされた方、オカメインコを飼われている方は是非とも最後までご覧ください。

保温について、その前に1・・・

みなさんが飼育されているインコやオウムの殆どは熱帯・亜熱帯・温帯など
比較的暖かい地域に生息する鳥たち。
例:ヨウム、コザクラはアフリカ、セキセインコ、モモイロインコ、オカメ インコなどはオーストラリア、メキシコインコ、ルリコンゴウなどは南米
なので、日本の冬は本来の生息域では寒すぎるかも。冬場は体調を崩しやす
く、温度管理をしてあげたほうがい無難。(健康な個体は大丈夫なことも多
いけど)

保温について、その前に2・・・

インコ・オウムの体温は大体40-45度。42度前後。 体温が10度高くなると神経伝達速度は1.8倍、筋肉を動かす速度は3倍になる
鳥はその高体温をキープし俊敏に反応することで、野生で外敵に襲われないように生き伸びてき た。
外気温はそれよりも低いけど、それを維持するためにエネルギーを消費している
どうしても、その高体温を維持するシステムになっている→外気温が下がるとそれだけ体温を維持 するためにだけにエネルギーが割かれる・・・他のところにエネルギーがいかない(痩せるとか)
そこで、エネルギーを奪われないように機能しているのが、「羽毛」
空気の層を作って、それが断熱材のような役割を果たし、体温が無駄に奪われないようにしている。

鳥の体温調整

そんなわけで、体を羽毛に覆われている動物なので、その断熱材的な役割を果 たしている空気の層は、体温の維持もしてくれるが、外からの熱源を直接取り 込むのは効率が悪い
(僕らのように、ホットカーペットーの上で温かーいと言うのは、鳥では足とか皮膚が露出しているところに限られる)
そのかわり、「気嚢(きのう)」と言う臓器が胸やお腹のあちこちにあっ
て、暖かい空気を取り込んだり、体を冷ましたりなど、体温調節に関わってくれている。

つまり、インコオウムの保温は!

インコやオウムの保温は、「空間全体を温める」のが重要!
インコオウムハ体全体に断熱材が覆われている感じなので、人間みたいに、ストーブや電気カーペ ットなどは効率が悪い。
保温するときは、暖かい空気を取り込めるようにしておく。 僕らのおすすめは、エアコンで温度管理! 個体にもよりますが、大体20度ぐらいの温度設定でも大丈夫。
ケージにも温度計を設置すること!エアコンの設定温度とケージの温度が異なることがある。その場合は、部分的に保温電球やパネルヒーターなどで調整を。(家の状況によっては隙間風などで温度が上がらない場所も)
しかしながら、急激な寒暖差は避ける。理想は一日の温度差5度前後ぐらい。

まとめ

飼育されているインコやオウムのほとんどは冬がないような暖かい地域の鳥
羽毛に覆われているため、熱源から直接、暖を取るのは非効率
一番おすすめはエアコンで温度管理(暖かい空気を取り込む)
個体にもよるが、20度前後ならそんなもんかなと。
ちゃんと温度計を設置して確認。あとは、そのこの体調を観察すること、寒
そうなら膨らんでいるし(膨羽)、暑そうなら翼を広げている(開翼)。
(これが安全!と言うような全てをマニュアル化できない!)

補足

最初にも少し伝えたが、健康な個体はそこまで厳密に温度管理する必要はないかも。10度前後でも普通に元気な個体もいま す。(急激な寒暖差は避けて、ゆっくり季節の移り変わり的なものは適応する)
でも、雛やご高齢や何らかの基礎疾患がある個体は体温管理したほうが無難。
温めすぎには注意!一つは熱中症、もう一つは発情を誘発するかも
意外にも、冬場に熱中症になる個体がちらほら。温めすぎに注意。一番無難なものはエアコンで管理。保温電球などをしよう する場合は、「サーモスタット(温度管理する機械)」などを使用するなどして、安全に温度管理を
塩ビシートをビニールハウスのように被せて、保温に使用しているケースが多いと思いますが、熱源との距離によっては、変な 匂いが出ることがあって、体調を崩すケースがあるので、注意が必要。アクリルを使用されている方も多いとは思いますが、そ の方がいいかも。
ピンフさんの動画に保温について、より実際的な素晴らしい動画を拝見しましたので、みんながみんなそこまでできるかはわ かりませんが、愛情を感じる理想的な飼育環境だと思いますので、詳細はそちらをご参考にされると宜しいかなと思います。概 要欄にURL貼っておきますね。

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