インコとオウムのクリッピング

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約5000羽ほどの鳥さんを診療しています。
今日は「インコとオウムのクリッピング」についてお話ししたいと思います。
クリッピングというのは、羽の一部を切って飛ぶ能力を低下させることを言います。その 必要性の是非に関しては別れるところだと思います。
今回は獣医師の立場でクリッピングの目的から考えるメリットデメリットを説明したいと思います。
クリッピングを検討されている方は是非とも最後までご覧ください。

クリッピングの目的

インコやオウムのとぶ能力を低下させることで得られるメリットがデメリッ
トを上回る場合のみクリッピングを行う。

クリッピングのメリット

屋外への逃走防止
ケージなど目的の場所へ移動するときに捕まえやすい

クリッピングのデメリット

落下事故(高いところから飛んで着地失敗。骨折など)
落下事故はよくあるの?
飼い主さんに踏まれそうになったときに素早く回避できない(翼があっても回
避できない時はできないが・・・)
踏まれたりはよくあるの?
運動不足による肥満(これだけが肥満の要因ではない、羽を切っていない鳥は
痩せているかというとそうでもない)基本的には運動不足になりやすいの?

クリッピングの注意点

切る羽は初列風切り羽を5ー10枚程度(鳥の大きさや飼い主さんが求める飛翔能力によ る)(写真1)この場所は推進力を生む場所、ここを切ることでとぶスピードが落ちる。
左右対称に切ること(飛ぶバランス悪くて危険、過剰に負荷がかかった羽だけ折れる)
換羽では切らない(出血することあり)
次列風切り羽は切らない(図1をそのまま使う、次列風切りはねはこちら)次列風切りは 揚力を生む羽なので、ここを切ると落下する
尾羽は切らない(揚力やブレーキや方向転換なので、切ると危険だし、飛ぶ能力とはあ
まり関係ない)

まとめ

クリッピングとは、初列風切り羽を切ることで飛ぶ能力を低下させる行為
メリットとデメリットを比較してメリットが上回るときのみ実施する
メリットは屋外への逃走防止ケージなど目的の場所へ移動するときに捕まえ
やすい
デメリットは落下事故、踏まれる事故、運動不足による肥満
切る羽は決まっていて、初列風切り羽を5ー10枚程度左右のバランスを考え て、切ること

補足

どうでしたでしょうか、ご自宅でクリッピングされる方も多いとは思いますが、案外、違う羽を切っ
てしまっていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、動物病院でもクリッピングはやっていますので、ご相談いただければと思います。
個人的にはクリッピングはそこまでお勧めはしていません!やはり飛ぶ動物ですからある程度広い空 間を用意して、自由にしてもらった方が精神衛生的にもいいのかなと思っています。
でも、一度出したらケージに戻すのが大変なので、ケージの中で生活してもらっています。みたいな ことになるくらいなら、クリッピングして、ケージの外で過ごして、飼い主さんの思うときにケージ にもせる方がマシかなと。
欲を言えば、意思の疎通でケージに戻るインコさんにトレーニングできればなおいいかなと思っています。

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