うさぎの骨折 治療と経過の記録 前肢とう尺骨(前足)骨折のプレート固定

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えしていきたいと思っています。

私は年間約1500羽ほどのうさぎさんを診療しています。
今日は、「治療と経過の記録」とありますが、うさぎさんで起こってしまった骨折治 療の実際についてお伝えしたいと思います。
ご来院いただいております飼い主さんの許可をいただきました。そのご協力もありま して、治療の経過もお伝えすることができました。
獣医師の本音、どう考えているかなどの生の声をお届けできればと思います。

うさぎさんの紹介

1歳のネザーランドドワーフさん、男の子
ケージの出入り口に挟まってしまったのか、そのあと前足をあげて歩いていると言うことでご来院されました。
実際にすごく飼い主さんの表情としては不安そうに、やはり骨折を心配されておられました。
左足を痛そうにあげて、3本足でひょこひょこ歩いていました。 これを見て、「骨折しているかも・・・どうしよう汗」と思います。
それを前提で慎重に触診やレントゲン検査をします。なぜなら、無理にすると暴れて 余計に状態が悪くなるからです。

レントゲン検査

 

基本的には麻酔はしません。麻酔にはリスクがあるからです。
レントゲン写真を撮るだけでもリスクがあります。
赤丸で示したように、こんな感じで左前足、橈骨と尺骨が折れてしまってしました。
いくつかある選択肢の中から、手術による治療を選択されました。
手術は麻酔のリスクがあります。人間よりも麻酔にはリスクがあります。心配そうで したが飼い主さんは手術を選択されました。
私たちは、選ばれた治療方針に対して、同じ方向を向いて一緒に頑張っていきます。 じゃないと、なかなかうまく行かない。

プレート固定

内固定と言いまして、手術で皮膚や筋肉を開いて、骨に直接金属の板(プレー ト)とねじ(スクリュー)を入れて固定する方法
メリット:手術後のお世話が楽。(ギプスや創外固定では定期的に包帯を巻
き直したり、傷への感染のコントロール、皮膚が擦れたり管理が大変)
デメリット:全身麻酔で手術。ギプス固定に比べて費用が高い

手術の写真

実際に麻酔にかかる前の写真です。手術前には麻酔のリスク評価と、痛み止めなどを注 射で打っておきます。
酸素と麻酔薬を混ぜたガスの中にいます。 5分から10分ぐらいで寝てくれますので、そのあと、骨折した場所を消毒して手術です。 手術中の写真は痛々しいので載せません。
飼い主さんは現場にはいません。
手術が終わったのは夜の12時ぐらい。無事、終了したことを飼い主さんに電話で連絡し ます。すぐに電話に出てくれて「良かったです・・」無事終わったことを心から安堵され ておられました。

1週間ほど、安静で入院

そして手術後、、、、、、
次の日からモリモリご飯を食べてくれました!
継続的に痛み止め、抗生剤、整腸剤などを飲んでもらって、安静に過ごしても らいます。
状態が落ち着いていたら退院です!
この段階では、まだ足はついていません。

2週間後の経過での来院

この段階でもまだ、足はついていません。 まだ治っていないので、そのほうがいいこともあります。
2週間経過したので、プレートとスクリューが破綻していないか、骨がくっつ いてきているか確認するためにレントゲン検査をします。
こんな感じで撮影します。 無理に抑えようとはせず、タイミングよくじっとしてくれるのを待ちます。

手術から1ヶ月

もう普通に歩行できるようになりました。
経過のレントゲン検査でも問題なさそうでしたので経過観察となりました。

うさぎの骨折について

うさぎの骨は脆くて繊細→折れやすいのかも。
体重に対する骨の重量は、猫は1/8に対して、うさぎは1/13と骨の重量は猫 より軽い
うさぎの骨折210症例で四肢の骨折が一番多い 痛みなどのストレスに弱い?→手術などの痛みに耐えられるかな・・・

骨折治療の選択肢

ウサギさんの骨折の治療にはいくつか選択肢があります。 ギプスによる固定 創外固定(写真にあるように針金みたいなものを骨に通して固定する) プレート固定
断脚(骨が飛び出してたりして元に戻せない場合)
それぞれにメリットデメリットあるので状況によって選択する

補足

骨折の治療の選択肢はいくつかあります。
骨の折れ方、ずれ方、そのこの性格、年齢、麻酔のリスクなどによって選ばれる 治療は異なります。
治療にかかる金額や、治療後の管理ができるかどうかによっても選ばれる治療法 は異なります。
また、その先生の得意な方法もありますので、どれが一番いい!と言うものでも なかったりします。
データが蓄積されると、また異なる治療法が良くなったりもしますので、一つの 治療の記録として、治療の実際をご覧いただければと思います。

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