【コザクラインコ・ボタンインコ】獣医師が教える多い病気5選

まさの森・動物病院で獣医師をしています、安田です。
コメントいつもありがとうございます。継続する励みになっています。色々いただいた質問に関しては、ライブ配信で無理なくお答えし ていきたいと思っています。
私は年間の大体5000件ほどのインコやオウムさんを診療しています。
今日は、鳥の種類ごとに多い病気シリーズ、コザクラインコ、ボタンインコ、いわゆるラブバードで多い病気5選ということでお話しし ていきたいと思います。
ラブバードと言われるだけあって、発情と繁殖が関係する生殖器関連の病気が多い。発情のコントロールが難しいですが、課題として大 きい。以前にお伝えした、発情抑制についての動画をご参考ください。(URL貼っておきますね)
以前に、文鳥さん、セキセイインコさんでお話ししました。 今回の病気もみなさんが知っているだけで、予防できるものがあります。早期発見して治療できるものもあるかもしれません。 コザクラインコさんを飼育されているかた、これからボタンインコさんを飼いたいと思っている方は是非とも最後までご覧ください。

1。自咬症・羽咬症(FDB)

【一言で言うと】
自分で自分の体をかじってしまう病気。
【原因】
何らかのストレス
【症状】 嘴の届く範囲の体の部位をかじるので、その場所で傷ができる。特にかじる場所として多いのは翼の下、脇のところ。羽に関しては胸とか色々。 【診断】
特徴的な症状
【治療】
ストレスの軽減、または他に楽しい何かを環境に作ってあげる、向精神薬などのお薬。齧るのがひどくて命の危険性がある場合のみエリザベスカ ラー。FDBではエリザベスカラーは使用しない。

2。卵づまり

鳥さんは交尾をしていなくても卵を産みます。
【一言で言うと】 卵が詰まってしまう、人間で言う難産。そのまま放置すると亡くなっちゃうかも 【症状】
いきむけど何も出ない、ぐったりうずくまる。お腹がぽんぽん。
【原因】 卵を産みすぎて、カルシウム不足、紫外線不足、寒い、卵の形が異常など。 【診断】
レントゲン、エコー検査、触診
【治療】 カルシウム剤の投与、圧迫して卵を出す、帝王切開

3。クリプトスポリジウム症

【一言で言うと】
クリプトスポリジウムという寄生虫による感染症
【原因】 クリプトスポリジウムに感染した鳥の糞便、吐き戻したご飯、飲み水を共有したりして感染 【症状】 初期は症状なし、徐々に胃がボロボロになってくると、吐き戻し、未消化便、体重食欲の減少 【診断】
便検査
【治療】
駆虫剤の内服。でも完治は厳しい。

4。甲状腺機能低下症

【一言で言うと】 甲状腺という臓器からでるホルモンが出なくなる病気
【原因】
不明
【症状】
赤い羽が生えてくる。
【診断】
症状から、診断する
【治療】
甲状腺製剤の内服。

5。卵巣・卵管の腫瘍

【一言で言うと】
卵巣や卵管に腫瘍ができてしまう
【原因】
発情・産卵の繰り返し
【症状】 お腹がぽんぽんになる。腹水が溜まったりすると呼吸困難など。やがて亡くなってしまう。 【診断】
触診、エコー検査、レントゲン、CT検査
【治療】
手術、発情抑制剤の内服。

今日お話ししたコザクラ・ボタンインコで多い病気5選をまとめます

1。自咬症・羽咬症(FDB):自分で自分の体を咬む病気。翼の下などを咬む。原因 は何らかのストレス。治療はストレスの軽減やお薬ですが、なかなか治療は難しい 2。卵つまり:人間でいう難産。原因はカルシウム不足、歪な卵、寒い、紫外線不 足、治療は圧迫して卵を出すか、手術 3。クリプトスポリジウム症:寄生虫の感染。最初は症状ないけど、徐々に吐いた り、痩せてくる。治療は駆虫薬ですが、完治は厳しい 4。甲状腺機能低下症:甲状腺という臓器からのホルモンが出なくなる。症状は赤い 羽が増えてくる。治療は甲状腺製剤の内服 5。卵巣・卵管の腫瘍:原因は発情や産卵の繰り返し。症状はお腹ぽんぽん。治療は ホルモン剤の内服や手術。

補足

今回は遭遇する機会の多い病気に関してお伝えしました。
特に発情と関係もしている、ラブバードで特徴的なのは、自咬症です。どういう関係があるか、疑問に思われた方もいらっしゃると 思います。性的ストレスが背景にあるのではないかと言われています。このラブバードと呼ばれる所以なんですが、パートナーとな った2羽は本当にずっと仲むずまじく、ずっと一緒に寄り添って過ごしています。なので、その関係性が破綻したり、それか叶わな い環境にある単独個体では起こりやすいのではないかと考えられています。
実際は、以前にお伝えした社会化についても背景にあるとは思います。幼少期にお母さんからどれだけ愛情を注がれたかなど、そ の背景は複雑です。(URL貼っておきますね)
また、何度もお伝えしていますが、鳥は症状を隠す動物です。弱みを見せたら食べられちゃうため、なるべく強がる。それゆえ に、僕らでは早期発見するのが難しい。その中でも嘘のつかない健康のバロメーターは体重です。是非とも日常的に体重測定をし てあげてください。
ペットショップに販売されているインコやオウムさんは、獣医さんによるこういった健康診断を受けていないケースがほとんどで す。いろんな病気を持っているにもかかわらず見た目の元気さがゆえに、そのまま販売されています。なので、繰り返しになります が、お迎えしたら早めに、健康診断を受けに行ってあげてくださいね。

このチャンネルでは動物の様々な病気や飼い方についてのことを伝え ています。あなたがペットを飼っているのであれば、ぜひチャンネル
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